「踏み出す瞬間は自分一人である、孤独であることも、忘れないでいたいです」

さて今回、松さんに表紙に登場してもらった理由は、特集のテーマである「JAXURY」を体現している女性は誰かを考えたとき、「Japan's Authentic Luxury=JAXURY」に関わる多くの人々が、真っ先に彼女のことを思い浮かべたからである。

慶應義塾大学大学院での研究をもとにしたJAXURYの視点は例えば「“心から良いと思うもの”を嘘いつわりなく追求。創造されたものの価値は何かと比べられず、唯一無二であること。 日常的な上質感を感じさせること。心づかいや他者への思いやりを醸成し、そのあらわれとして周囲の人に良い影響が波及していくこと」などである。これに、松たか子さんという人は見事に当てはまっているし、今回の撮影や、インタビューの回答からも、それを確信できた。

日常生活で大切にしていることを質問すると、「何でしょうか……。日々バタバタしていてよくわかりませんが……」と逡巡しながら、こう続けた。「全て完璧は無理、と認めることでしょうか。ただ、何か自分たちのための時間だったり、そういう好きなことを見つけて、見つかったらその時間も大切にしたいなと思います。今だと私は裁縫が好きなので、娘のものを作ったりする時間は、夢中になれる大切な時間かもしれません」

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映像作品に舞台作品、音楽にしても声の仕事にしても、松さんが関わるものは“心から良いと思うものを嘘いつわりなく追求”している印象がある。では、“心から良いと思うものと出会うコツ”“自分に正直であるために心がけていること”は?

「私の仕事は、堂々と嘘をつくようなところがあるので、せめて私生活では正直に生きたいとは思いますが、なかなか難しいですね。教えていただきたいぐらいです。同じ答えになってしまいますが、時間は過ぎていくからこそ、今やるべきこと、できることに集中するのみ、ということになるかなと。でも、正直になれなくても、過剰に自分を責めたり、周りを非難したりはしたくないですね。なんかそれは……哀しいと思います」