撮影中は誰とも連絡を取らなかった

――実はさとうさん、そんな七恵の孤独とシンクロするため、撮影中は自分も誰とも連絡を取らず、外部とのつながりを全て遮断していたのだそう。

「もうその間は、ただただ苦しかったですね。何を見ても、そこには『天涯孤独』と書かれているんです、本当に。あぁ、私には誰もいないんだ、という気持ちしか湧き上がらなくて。それだけで七恵に近づけていたとは思わないですけど、こんなに辛い状況に入ることができたことは、七恵を演じるうえで良かったと思いますね。

普段の私は、孤独を感じることもなくはない、という感じでしょうか。私は根がポジティブな人間なようで、基本的に自分で自分を追いつめるようなことはしませんから。でも今回は、自然と自分を追い込むことができた。それがちょっと不思議だなぁ、と思っているんです」

撮影/山本光恵

――無計画に見える七恵とレイの逃避行だが、そこからは愛と幸せを求めて全力で生き抜こうとする、二人の“覚悟”のようなものが伝わってくる。特に、作中で七恵がレイに問う「思い残すことはある?」というセリフは、強烈な矢となって観る者の心を射抜いてくる。さとうさん自身は、もしこの一言を問われたらどのように感じるのか伺ってみた。

「思い残すことなんて誰しもいっぱいありますよね!? 私はすごくいっぱいありますよ。何に対してと聞かれると、全部(笑)。でも、主には仕事かなぁ。仕事においては、思い残すことがなくなるような満足感を得られる日は絶対に来ないと思っているんです。

それは、足りない、できない、悔しい、とかいった無念のような感情ではなくて、『まだまだやれることがある』という欲が尽きない、という意味で。音楽も俳優業もそうですけど、自分が好きで楽しいことばかりやっているので、この欲が尽きることはないと思います。そういう意味では、いつ死んでもきっと私は思い残すことだらけでしょうね」

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