自分を愛する女に、自分の夫を殺させた女。そして二人はあてのない逃避行へと出る――。そんなセンセーショナルな物語を圧倒的な画力で描き、熱烈な支持を得た中村珍原作の『羣青』。待望の映像化にあたって、夫を殺させる女・七恵(=原作では別名)を演じたのがさとうほなみだ。女優であり、あのカリスマ的人気バンド・ゲスの極み乙女。のドラマーでもある。その二つの顔に加えて、精神的にも肉体的にもあまりにもハードな七恵という女性を新たに背負うことになった彼女の、“生きる覚悟”について伺った。

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原作を読めば読むほど共感してしまった

――4月15日よりNetflixで全世界独占配信がスタートする映画『彼女』。愛に傷つき、拒絶し、それでもなお愛に救いを求める女二人の壮絶なロードムービーだ。中でもさとうさん演じる七恵からは、画面越しにもギリギリの精神状態が伝わってきて、観ているこちらも息苦しくなってくる。これほどまでに過酷な役のオファーを受けることに、迷いはなかったのだろうか?

「もともと原作の大ファンだったんですよ。だから初めて読んだときから、もしも映像化されるなら絶対にやりたい、と思っていました。ただ、原作の画力がとにかくすごいので、映像化するとなるとどう表現したらいんだろう、と。そんな迷いはありましたけど、逆に言うとそこ以外の迷いは全くありませんでした」

――物語は、夫から暴力を振るわれている七恵が、高校時代に自分を好きだったレイ(=原作では別名)を呼び出し、夫殺しを依頼するというもの。七恵は決してレイを愛していたわけではないが、それでもレイは七恵に望まれるがままに殺人を犯す。そんなレイを七恵は自分の車に乗せ、自分への愛を確かめるかのように一緒に逃げ始める。

Netflix映画『彼女』4月15日(金)より全世界独占配信

「初めて原作を読んだときは七恵を演じたいと思ったんですけど、何度か読み直しているうちに『やっぱりレイを演じたいかも』と思うようになり、やがてまた七恵に戻っていって……。読めば読むほど、どちらのキャラクターにも共感してしまって、そのときそのときで演じたい人物が変わっていましたね。

七恵には家族も友達もいなくて、結婚した相手からも暴力を振るわれている。レイが心の拠りどころだったというより、救われたくて手を伸ばした先に思い浮かぶ存在がレイしかいなかった、というだけなんだと思います。だから旅の間もずっと不安で、レイを試すような行動ばかり取ってレイの愛を確かめようとする。そして、そのレイには拠りどころとなる家族がいることを思い知らされ、裏切られたような気持ちになって、より孤独が増していくわけです」

撮影/山本光恵

さとうほなみ
1989年8月22日生まれ。東京都出身。2012年より、ほな・いこかの名義で、ゲスの極み乙女。のドラマーとして活動を始める。2017年からは、さとうほなみとして女優活動を始め、ドラマ『まんぷく』(NHK)、映画『窮鼠はチーズの夢を見る』、舞台『カノン』などに出演。強い目力と世界観のある演技で、今後の活躍が期待されている。

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