子どものケンカに「所有権」を持ち出すアメリカ人

私は元夫の袖をグワァーっと引っ張り、洗濯機のある部屋(アメリカでは別名、大人の説教部屋)に連れていき、「みんなの前であんなこと言うなんてどういうつもり?」と問い詰めました。

すると夫は、「ここはエリカの家で、あれはエリカの部屋で、あのおもちゃはエリカのものだ。だから、彼女に所有権がある」と言うのです。

出た、所有権。アメリカ人がよく使うやつ。と思って私が言い返そうとした瞬間、夫は次のように続けました。

「だから、友達と一緒にそのおもちゃで遊ぶかどうかは彼女が決めるべきなんだ。お友達も、エリカが友達ならば、彼女の意思を尊重しないといけないんだよ」

私は、子どもの言い争いに「権利」「尊重」といったワードが出てきたことに驚きました。3、4歳くらいの子どもたちを相手にそんなことを言ったって理解してもらえないし、とりあえずみんなで楽しく過ごす方法を考えたほうがいいのに、と思いました。何より、「マナー」に反していると思ったのです。「おもてなしのマナー」に。

-AD-
写真はイメージです〔PHOTO〕iStock

その後、エリカが部屋の向こうで泣き叫んでいるのが聞こえ、夫婦国際サミットは一時休止。みんなの元に戻り、元夫は「これ以外のおもちゃで遊んでくれるかな?」とお友達の説得を試みました。でも、子どもたちは「なんで〜? 僕/私たちだってシェアするのに〜」と納得してくれません。というのも、その日家に来ていたお友達の多くは日米のハーフで、日本人のお母さんのもと、家庭で日本的な教育を受けていたので、みんながほしいと思ったら分け合う、という精神が身についていたのです。

もう、らちがあかないので、とりあえずピザとケーキでみんなの気をそらし、そのあいだにエリカが大事にしているおもちゃをそそくさとしまい、その日はなんとかやりすごすことができました。