ハーバード大〔PHOTO〕iStock

【詳細】ハーバード大教授の「慰安婦」論文が、世界中で「大批判」を浴びている理由

複数の論文が批判を浴びている

ハーバード大学ロースクールのJ・マーク・ラムザイヤー教授が書いた、日本軍「慰安婦」問題や部落、沖縄、在日コリアンなどに関する複数の論文が国際的に批判を巻き起こしている。

きっかけとなったのは、2020年12月、”Contracting for sex in the Pacific War”(太平洋戦争における性契約)と題した論文が、International Review of Law and Economics(インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス、以下IRLE)という学術誌のオンラインサイトに掲載されたことだった。

IRLE
 

その論文は、日本軍「慰安婦」は、売春宿の業者と自発的に交渉を行い契約を結んだとし、「ゲーム理論」に基づきその「契約」を論じるというものだった。ラムザイヤー氏は「慰安所」の制度の責任はあくまで朝鮮人業者にあり、日本軍や政府にはないとした。

2021年1月12日には、産経新聞系の英文ニュースサイト『JAPAN Forward』(ジャパンフォワード)に、IRLE論文の論点を紹介するラムザイヤー氏の執筆記事が掲載された。この記事の中で、ラムザイヤー氏は「慰安婦」が性奴隷であるという説は「完全なるフィクション(作り話)」であると言明した。

さらに産経新聞が1月28日、「世界に広まる『性奴隷=慰安婦』説を否定 米ハーバード大 J.マーク・ラムザイヤー氏が学術論文発表」という、福井義隆青山学院大学教授による記事を掲載し、同論文を紹介した。一般紙に、個人の学者の論文が要約まで伴って紹介されるとは異例の扱いである。このように、産経系の媒体がラムザイヤーの論文を取り上げたことが、大きな批判を巻き起こす直接的なきっかけとなった。

2月頃から韓国メディアでラムザイヤー氏の「慰安婦」問題に関する論文について盛んに報道が行われるようになり、その流れが英語圏にも及んだ。歴史学や経済学などを専門とする学者やハーバード大学の学生、「慰安婦」問題に取り組む運動団体など様々な人たちがラムザイヤー論文を批判し、IRLE編集部による検証や論文の撤回などを求める書簡や声明が出され、オンライン集会も何度も開催されてきた。

米国など英語圏のメディアもこの動きを記事にしており、ハーバード大学の学生新聞である『ハーバード・クリムゾン』はこの問題を追い続け頻繁に記事を出してきた。

さらに、ラムザイヤーの同僚であるハーバード大学ロースクールのジニー・ソク・ガーセン教授は『ニューヨーカー』誌に批判記事を執筆。そのほかにも、CNN、ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、ガーディアンなどといった主要メディアが報道している。

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