約2年をかけてほぼ世界一周した様子を綴ったエッセイ『ブラを捨て旅に出よう』の著者・歩りえこさんに、著書では綴られていないエピソードを披露してもらっているFRaU web連載「世界94カ国で出会った男たち」(毎月2回更新)。

今回は、歩さんが最も癒しを感じたというタイでの出来事をお伝えします。ある男性との出会いで、「人を見た目で判断してはいけない」「幸せとは何か?」ということを改めて考えさせられたという歩さん。その男性はどのような人で、何が起こったのか……当時を振り返っていただきました。

歩さんの今までの連載はこちら▶︎

マッサージ師の資格取得を目指すことに

微笑みの国、タイ王国。世界94カ国を訪れた中で私が最も癒しを感じた国だ。タイ人は勤勉が良しとされる日本人の価値観とは異なり、「人間らしく生きること」をモットーとしてる人が多い気がする。

例えば、飲食業やアパレル、雑貨店などで接客業をしている最中に普通にご飯をガツガツ食べていたり、昼間は暑過ぎて人間も犬もすぐお昼寝しちゃうし、時間や約束にもルーズ気味、勤務中はひたすら同僚とお喋りしながら……など、人生をラクに楽しく生きる・何事においてもあまり深く考えすぎないというような人が多い

そして、怒っている人やイライラしている人をあまり見かけない。この何ともいえない、独特のゆるりとした空気感に惹かれて定住してしまう外国人旅行者も多くいる。私もこのタイのゆるっとした魅力の虜になってしまい、訪れた回数は10回を超える。

タイ料理は何を食べてもハズレがないほど美味しいが、タイ風豚挽肉のサラダ「ラープムー」は絶品。写真提供/歩りえこ

中でも一番夢中になったのは、足でぎゅんぎゅん踏みつけられるタイ古式マッサージだ。私が訪れた当時は2時間600円ほどで受けられたので、毎日欠かさずにマッサージを受けまくっていた。あまりの気持ち良さに1日1回では飽き足らず、1日2回も受けに行くこともあったほど。こんな極楽浄土みたいなマッサージを恋人にもしてあげたいな……そんな風に思っていたところ、偶然入ったタイ古式マッサージ店の受付で一枚のチラシが目にとまった。

「ワットポータイ古式マッサージ師資格を取得しませんか?」と、英語・日本語・中国語・韓国語で書かれている。ワットポーってあの有名な寺院のワットポーかな? 私はすぐさまメモ帳に連絡先やスクールの住所を書いて、電話せずにそのままメモした住所へと歩いて向かった。

ワットポーマッサージスクールに到着すると、私が日本人だということに気が付いたのか、日本語を話すタイ人講師が丁寧に案内してくれた。コースは修了証取得コースと開業支援コースとがあり、私は開業するわけではないので修了証取得コースに申し込むことにした。

習得が早ければ最短30時間で取得可能だそうだ。やるとなったら気持ちが冷めないうちに、とことんやりたいタイプの私は早速次の日からのクラスを受講することにした。午前と午後どちらも受講してできるだけ早く習得したい!

多くの外国人観光客が訪れるバンコクのカオサンロードには無数のマッサージ店があり、マッサージ店激戦地区になっている。写真提供/歩りえこ