非認知能力は高ければいいというものではない

――しなやかに生きるためには、非認知能力は高いほうがいい、ということですね。

小田先生:実は、非認知能力は高ければ高いほどいい能力というわけではないと言われています。例えば、チャーリーはいつも陽気で冗談が大好きなキャラクターですが、いつも冗談を言っているがために、動物園の象さんが逃げ出したことを仲間に伝えても信じてもらえないというお話があります。ヘンリーは心配性すぎるがゆえに、役に立つきかんしゃになれなかったこともあります。

加えて、非認知能力の面白い側面として、いつも私たちが安定してその能力を発揮できるとは限らないということがあります。例えば、仲の良い友達との間では協調性を発揮できても、友達とけんかしたあとでは協調性を発揮しづらくなることもあるかもしれない。

つまりは、非認知能力は「あってないような能力」と言えるかもしれませんし、もう少し正確にいうと、特定の文脈に対して発揮される能力とも言えるかもしれません。トーマスの研究チームでは、こうした非認知能力の特性を考え、「非認知能力が高い」ということを、特定の文脈においてどういう行動をとればよいかというストラテジー(戦略)を豊かにもっていることであると考えてみました。

こうして非認知能力に特化した話をしていると、非認知能力だけが大切かのように思われるかもしれませんが、現実社会で生き抜くためには認知能力も必要ですよね。試験を受け、コンピューターを使い、締切までに仕事を終える。そういった現実社会を生き抜くには、認知能力も必要です。一方、勉強ばかりできて非認知能力が低すぎても、“逆境や変化”を乗り越えるのが難しい。

――バランスが大切なのですね。

小田先生:難しく考えてなくても大丈夫です。先ほど、子供が小さいうちは一緒に遊ぶなかで、子供の“気づき”に共感して自己肯定感を丁寧に育むことが大切だと言いましたが、加えて必要なのは、「一貫性」です。子供たちは日々、未知の体験に対して手探り状態で経験から学んだ選択を探っていますが、そこで、「これと似たようなことをしたときに、パパとママは怒っていたな」という一貫性をもった子育てをしていれば、子供も心を整理しやすいのではないでしょうか。