「きかんしゃトーマス」は非認知能力に触れるきっかけになる

――自己肯定感がないと主体性も発揮できない。主体性が発揮できないと、現実世界に柔軟に対応する力も伸ばせない、ということですね。ところで、先生は「きかんしゃトーマス」の教育的効果を研究されていますが、どのような研究結果が出ているのでしょう?

『映画 きかんしゃトーマス おいでよ!未来の発明ショー!』より

小田先生:「きかんしゃトーマス」には非認知能力を伸ばす要素があることがわかっています。TVアニメーション(第13シリーズ~第21シリーズ)について分析したのですが、これらの物語を大きく2つに分類してみました。ひとつは、「私や他者、場についての理解を深める」話。もうひとつは、「他者や役割を含む場へ私がどのように関わっていくか」という話です。前者の中には、自己理解、他者理解、場の理解、役割理解、後者の中には、他者との協力、他者の意見を取り入れる、他者への向き合い方、役割との向き合い方、というそれぞれ4つのテーマが込められていると整理しました。

こういったテーマを子供たちは意識的には見ていません。親は、子供たちと一緒にトーマスを見て、「あのシーンではトーマスは苦しそうだったけど、あなただったらどうしたかな?」というふうに声をかけてみてください。トーマスの物語から、子供たちは非認知能力に関連したものをインプットし、子供がそれを自然と深められるように、親がきっかけを与えてあげるといいでしょう。

ただ、そこで「あのシーンのトーマスはよくなかったから、あなたはもっと優しくしなさいよ」というような決めつけや答えを与えるのはよくないと思います。子供がインプットしたものを広げられるように一緒にアウトプットする感じですね。

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プラレールで遊ぶことも非認知能力を広げるきっかけに

――親からは答えを与えないということですね。親の意見は言ってもいいのですか?

小田先生:「お母さんだったらジェームズみたいにはしなかったなぁ」などと言うのも、もちろんいいでしょう。「きかんしゃトーマス」のTVがインプットとなり、それについて話すこともアウトプットになりますが、プラレールで遊ぶこともアウトプットになります。

子供たちがプラレールで遊ぶとき、レールの上を悠然と走るトーマスたちを眺めて楽しむこともあると思いますが、例えばレールからきかんしゃをおろして、手で押しながらごっこ遊びをすることもあるかもしれません。そのとき、子供たちはきっと、アニメーションでみた内容を再現しようとしたり、各キャラクターの特性を活かした遊びをしたりしているように思います。これはまさに、きかんしゃトーマスのTVで得たものを、子どもたちなりの方法で、遊びを通じてアウトプットしていると考えられます。こうした体験は、子供たちの現実世界での非認知能力の応用に結びつくと期待しています。