再婚後、父は豹変…「児童虐待」の現実

警察庁によると、昨年1年間に全国の警察が、虐待の疑いがあるとして児童相談所に通告した18歳未満の子どもが過去最多の10万人を超えた。コロナ禍の外出自粛に伴い、家庭内での虐待が増加している恐れもあるという。

現在、児童虐待防止機構オレンジCAPO理事長を務める島田妙子さんも幼少期に虐待を受けた一人だ。4歳の頃、両親が離婚し、父親が兄2人と島田さんの3兄妹を育てていたが経済的な理由もあり、児童養護施設に入所。7歳のとき、父親の再婚を機に家庭に復帰したが、継母だけでなく実父による虐待も始まった。それは小学2年生から6年間にも及ぶという。

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島田さんが原作者として、その虐待体験をノンフィクションで漫画化した『虐めを待つ人』では、虐待に至る経緯や内容が具体的に描かれている。読者のレビューコメントには「どうして子どもにこんなひどいことができるのか」「読んでいて胸が痛く、苦しくなる」といった感想が多く見られ、島田さんが受けた虐待がどれほど壮絶なものだったかがうかがえる。

本作の担当・金田さんは、「島田さんは関西生まれ、関西育ちの根っからの明るいお人柄。しかし、その雰囲気からは想像もできない壮絶な生い立ちをお持ちで…原作の島田さん、作画家のあしだかおる先生、担当編集の私がそれぞれ1歳ずつ違う同世代の『昭和の子ども』だったこともあり、子ども時代のエピソードには共通点も多いなか、島田さんの子ども時代のお話は、継母と実父からの虐待で身も心も痛めつけられるもので大変驚きました」と語る。

殴られ、蹴られ、食事も与えてもらえず……島田さんは何度も命を落としかけたという。そんな虐待を6年間も受けていたら親に対する憎しみが芽生えるだろうが、「島田さんが大人になられて、傷つけられる子どもサイドはもちろん救わないといけないけれど、本当に救うべきは大人の方だという思いで、講演活動をされています。ご自身の継母のことを、『まだ20代前半で、いきなり3人の子どものお母さんになって、彼女もつらかったと思う』とおっしゃっています」と金田さんは言う。

また、「どんな虐待母(父)も、実は心の内では悲鳴を上げている、そんな大人を救いたいという島田さんの言葉は、いつもぬくもりとユーモアにあふれています」と、現在の島田さんの想いや活動について教えてくれた。

虐待は身体だけでなく、心にも大きな傷を負う。それはやがて後遺症となり、社会への生きづらさを感じる要因にもなりうる。さまざまな考えがあると思うが、一人でも多くの被害者がいなくなるよう、子どもの異変やSOSを少しでも感じたら見逃さない。これは防止策として周りの人、私たち大人ができることであって、やるべきことであると思う。