日本にも根強く存在する「見た目」差別

「見た目よりも中身が大切」とよく言いますが、身体的に魅力であるかどうかを評価する風潮は根強く存在しています。美しいものを求める気持ちは分かりますが、容姿によって優劣がついたり、不均衡が生じるのは問題であり、最近では、東京五輪・パラリンピックの開閉会式の演出で、女性芸人の容姿を侮辱するような演出案が浮上したことに批判の声が殺到し、演出の総合統括だった男性は報道の内容を認め、辞任を表明しました。

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最近よく耳にするようになった「ルッキズム」とも呼ばれる、この“外見至上主義”は、日本でも蔓延しているのではないでしょうか。

外見至上主義に伴う、容姿差別について考えさせられる漫画『愚者の皮』は、整形に失敗したヒロインのビジュアルがネットで話題になり、異例の大ヒットを記録。

本作を担当した三平さんは、このヒットを受けて、「化け物のような女がドレスを着て夫を追いかけるシーンなど、最初はみんな怖いもの見たさで読み始めたのではないかと思います。しかし、読み進めていくうちに、ただグロテスクな女が暴れまわるという単純な話ではなく、『見た目問題』と正面から向き合うヒロインの悲哀が根底に流れていることに気づかされていきます」と言います。

ルッキズムは、職場でも、学校でも、家庭でも起こりうることで、“顔採用”で新入社員を採用する企業があるという噂がたったり、顔が大きい・小さい、身長が高い・低い、太っている・痩せているなどを友人と比較されたり……他人の尺度で決められた美の価値観によって見た目を評価され、不快感や違和感を抱いたことがある人も多いのではないでしょうか。

前述の三平さんも「結婚や恋愛だけではなく、就職活動などでも外見の特徴から不利な扱いをされる容姿差別があります。でもきっと、本作の主人公夫婦が最後にたどり着いた関係性を見れば、『見た目にこだわることがどんなに無意味であるか』がわかるはず」と言い、「企業の採用担当者が『愚者の皮』を最後まで読めば、もしかすると履歴書から顔写真の欄がなくなる世の中がくるかもしれません」と現実社会で起こりうる問題に絡め、メッセージを残してくれました。

「人を見た目で判断してはいけない」のはもちろん。それと同時に、誰しもが持っているであろう自分の容姿コンプレックスに劣等感を抱くのではなく、自分の価値観を大切に生きていける人や社会が定着するよう努めることも必要なのかもしれません。