コーヒーでジェンダーギャップを考える  

農協の職員によれば、このプログラムが開始された当初は、男性が反発し、女性を集めることすら難しい状況だったそうです。そのため、男性もプログラムに参加してもらい、家族でトレーニングを実施し、世帯の収入が増える利点を理解してもらうことから始めたと言います。 その結果、家族内で協調性も生まれ、子どもたちのコーヒー生産に対する知識も深まりました。今では男性から女性にプログラムに参加を促すケースも珍しくなくなったという報告もあります。 

ジェンダーに関わる課題は国の文化や慣習にも深く関わるため、同じ手法がどこでも通用するとは限りません。しかし、他の国での事例を参考に、各国が工夫を凝らし、自国の改善に向けた対策を取ることができるところに、世界的な取り組みであるSDGsの意義はあります。 

-AD-

2020年、世界各国のジェンダーの平等を示す一つの指数である「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は世界153カ国中121位でした(編集部注:2021年は156ヵ国中120位)。これは、先進国の中では最低レベルであり、開発途上国である多くのコーヒー生産国さえ下回ります。日本は初等教育や識字率などの教育や保健の分野でのジェンダーギャップがなく、その意味においては世界トップレベルの男女平等な社会基盤が築かれているにもかかわらず、政治や経済の分野における女性の活躍が著しく低いことが順位を押し下げる要因となっています。

人口減少と高齢化が進む中、女性が社会で活躍しにくい日本の現状は大変危機的です。働き手としての女性の雇用促進を進めるだけではなく、周囲や社会が女性の役割や可能性に理解を示し、変わっていかなければいけない点は、コーヒー生産地の問題と同じです。 

日本ではジェンダーギャップへの配慮を付加価値とするコーヒーの流通は、ほとんど見かけないのが現状ですが、SDGsを通じ、自国への啓発も含めて取り組むべき課題と言えるのではないでしょうか? もし実現すれば、生産国と消費国のジェンダーの課題を、コーヒーでつなぐことができるかもしれません。 

ジェンダー平等とは、男性VS.女性という問題ではない、あらゆる性別の人がともに人権問題を考え、相手を尊重し、お互いの能力を活かしてみなが健やかに暮らすことを目指すものだ Photo by iStock
SDGs17の項目を「コーヒー」の切り口で解説。大変わかりやすいSDGs入門でもある