家庭内での女性の地位が向上

そこでFNCは、より健全な家族経営によるコーヒー生産を普及させるために、このプログラムを開始し、家庭内での女性の地位向上と、女性への品質管理指導や女性がマーケティングに関わるための支援を行いました。女性が販売に関わりを持つようになったことで、コーヒーの品質は格段に向上しました。品質が良ければ高く売れることがわかると、より収入を得るために完熟豆を選んで収穫し、誰もが丁寧な精選をするようになりました。 その結果、このプログラムのコーヒーは高い評価を受けるようになりました。

女性も多く入れた新しいプログラム。当初は男性からの反発が多かったという 写真/『コーヒーから読み解くSDGs』より
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また、プログラムに参加する女性たちの強い団結力で情報交換が密になったことや、女性は利益のほぼすべてを進んで設備や将来に投資したこともプログラムの成功を後押ししたのです。さらに女性は、自らの収入を家族のために使うことが多いため、世帯全体の生活の質が上がったとの報告も出ています。また女性がコーヒービジネスに積極的に参加することで、子どもたちや若年層がコーヒー生産に興味を持つようになり、後継者育成にも大きく貢献しているとも言われています。 特にウィラ県は、FNCと地元の農協が協力体制で「ジェンダー平等プログラム」を立ち上げた場所でもあり、コロンビアの中でも特に女性グループの活動が盛んな地域で、県内7つの自治体が参加しています。 

2019年8月初旬に、筆者の山下が現地を訪問した際は、農協の買い付け価格の表にはプログラムに参加した女性グループのコーヒーがあり、品質第一で決定される買い付け価格が他の認証コーヒーより高いという成果も上げていました。農協は、女性グループのコーヒーを「女性生産者のコーヒー(Mujeres Cafeteras)」と名付け、特別なパッケージで販売しています。 

地域ごとにいる14名の女性リーダーたちに、プログラムに参加して何が変わったかを述べてもらったところ、次の結果が得られました。  

・ 自分たちのコーヒーに対する知識や技術が向上した 14名  
・コーヒーの品質が向上した 9名  
・生活の水準が向上した 8名  
・子どもの教育への支援を受けることができた 4名  
・家庭内での自分たちの地位が向上した 14名 

また、グループに参加する前と後の家庭での自分の役割を比べてもらったところ、 「以前は、農園で働いていても、コーヒーに興味がなかったが、トレーニングを受けて、いろいろな視点で世界を見られるようになった」 「以前は、自分はただの主婦だと思い込んでいたが、今ではコーヒー生産が家族経営に変わり、自分も関わっていると言える」 などの声が多数あがり、女性たちの意識が大きく目覚めたことがうかがえました。