世界経済フォーラムが2021年度の「グローバル・ジェンダーギャップ・リポート」を発表した。日本は156ヵ国中120位で、2020年の121位より1位上昇したが、G7の中で最下位だ。では、人権問題はもちろんのこととしても、ジェンダー不平等を改善することでどんな良いことがあるのだろうか。その具体例ともいえるのが、コーヒー園で実現させたジェンダー平等の取り組みだ。これにより品質向上をはじめ、多くの人にとって劇的な効果が表れたという。どのように実現させ、そしてどんな結果となったのか。『コーヒーから読み解くSDGs』(ポプラ社)の抜粋掲載によりお届けする。

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コーヒー生産とジェンダー平等の関係

ジェンダーとは、社会的、文化的に分類される性別のことを指します。いわゆる「女性」「男性」という生物学的な性別に限られるものではなく、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者)といった性的少数者(LGBT)を含むべきものです。さらに近年は、自分の性別がわからない(Questioning)など、LGBTに当てはまらない人の存在にも配慮し、LGBTではなく、LGBTQと表現すべきだという声もあります。 

しかし、世界には法律的に同性婚が重罪にあたる国も数多くあることから、SDGsでは、ジェンダーの平等に本来なら含まれるべきLGBTを入れることに合意できませんでした。「誰一人取り残さない」というSDGsの概念自体に当然LGBTも含まれているとする人もいますが、本来であれば、ゴール5に明記すべき問題です。人の性のあり方は様々であり、それによって差別される社会は、真に公平な社会とは言えないのです。 

昨今日本でも、ジェンダーの平等や多様性を認める重要性が訴えられるようになりましたが、ジェンダーの問題は非常に複雑で、国の文化や社会構造にも深く根ざすからこそ、SDGsの多くの項目に横断的に及んでいるのです。 

コーヒーは、そのほとんどが開発途上国で生産されますが、途上国の農村部における女性の労働力は大変重要で、その数は男性よりも多いことがよくあります。そこには、内戦や虐殺、HIV/AIDSの蔓延、より良い収入を求め街に出稼ぎに出るなどの理由で、農村部の男性の労働力が減ったため、結果的に女性や子どもが農業に従事することになったという事情もあります。 

コーヒー農園で働いても経営に関われない女性たち

そもそも、コーヒー生産農家の仕事には、コーヒー樹の栽培から収穫、精選、出荷、販売など、多くのプロセスがあり、女性はその多くにおいて重要な役割を担ってきました。それにもかかわらず、女性がコーヒー農園で働いていても、男性と同じように経営に関わったり、組合に入り融資や技術支援を受けることが難しい地域はまだまだたくさんあります。 

そのようなジェンダーの不平等は、女性が土地の所有権を持つことが慣習的に困難である国や地域においてはさらに顕著です。多くの国で伝統的に重んじられてきた家庭の中での女性の役割が、家事も子育ても一手に引き受けるマルチタスクであるため、男性に比べて女性は学校からも遠ざけられ、女性の貢献は正しく認識されてきませんでした。 コーヒー農家の女性も、農園での労働、家庭内での労働と、多分野の労働を担っているにもかかわらず、その貢献が社会的に認められない例が多々あります。それは、世界が抱える大きな課題であり、その流れを変えようという動きは世界中のあちこちで、そしてコーヒーの生産地でも生まれています。 

あるウガンダのコーヒー農園。役割分担はあれど、女性も重要な労働力だ Photo by Getty Images