ついに70歳雇用社会が到来!高齢者雇用をめぐる「3つの課題」

コロナ後の未来年表(8)
改正高年齢者雇用安定法がこの4月から施行され、70歳までの就業確保措置を講じることが企業の努力義務となりました。しかし、高齢者雇用には課題が山積していると、ベストセラー『未来の年表』シリーズの著者でジャーナリストの河合雅司氏は語ります。「70歳定年時代」の雇用のあり方とは?

4月から何が変わった?

法改正により、4月から企業に70歳までの雇用機会の確保が努力義務として課せられた。

具体的に求められたのは、

(1)定年年齢の引き上げ
(2)定年の廃止
(3)継続雇用制度の導入
(4)継続的に業務委託契約を締結できる制度の導入
(5)継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入

の5つの措置である。

(1)~(3)は、すでに65歳までの雇用の確保で義務付けられていたものだ。(5)の社会貢献事業については、会社や商品の歴史を説明するセミナーの講師、植林事業といった環境プロジェクトに関するボランティア活動、勤務してきた企業が関係を持つ財団法人などで働くことなどが想定されている。

政府が法改正を行って70歳までの就業を促進しようとする背景には、少子高齢化に伴う慢性的な人手不足と、勤労世代が減ることによる年金や医療などの社会保障制度の財源不足という2つの懸念を解消したいという思惑がある。

背景には年金問題も(Photo by iStock)

とりわけ後者への期待が強く、2022年4月からは年金受給開始年齢の選択肢の上限を70歳から75歳に引き上げる。政府が、2025年度以降の「70歳雇用の義務化」を視野に入れていることは確実だ。

 

企業は高齢者雇用に前向きか?

70歳までの雇用に関しては、政府の思惑とは別に、希望する人も少なくない。公的年金の給付水準が今後低下する見通しとなっているため、老後の生活資金を確保するために働かざるを得ないからだ。

内閣府の「老後の生活設計と公的年金に関する世論調査」(2018年)によれば、「66歳~70歳」まで収入を伴う仕事がしたいとした人は21.5%に上った。71歳以降まで希望する人を含めれば37.6%だ。こうした人からすれば、努力義務とはいえ法律が後押ししてくれることは朗報だろう。

各種世論調査では、現役時代と同じ会社、同じ業種で働き続けたいという人が多いが、今回の法改正では、企業の負担を軽減するため、グループ関連企業だけでなく、関連のない他社での継続雇用も認めている。それどころか、勤務してきた企業とのフリーランス契約や起業の支援といった形も選択肢としている。

ただ、この法改正をもって「70歳まで働ける社会」に弾みがつくかといえば、そう簡単ではない。

そもそも、勤労世代が激減し高齢者に頼らざるを得ない「地方」の企業は別として、多くの企業は高齢者雇用に前向きとは言い難い。65歳までの雇用機会の確保が義務付けられても、定年延長ではなく継続雇用制度の導入でお茶を濁してきたことが何よりの証拠だ。

60歳前後になると、健康状態や家庭環境、仕事への意欲に対する個人差が大きくなり、すべての人が〈戦力〉になるわけではないからである。

関連記事