「ほいくえんに行きたくない…」子どもが泣きながら拒否するワケ

保育の質を問う(3)
小林 美希 プロフィール

「認可神話」が崩れている

保育園は規制緩和を受けて現在、多様になっている。認可保育園が保育士配置基準や面積基準が最も厳しい。認可外保育園は行政に縛られない独自の保育ができる良さがある一方で、認可保育園のような保育士配置や面積の最低基準を満たさない園もある。

統計上、死亡事故は認可保育園よりも認可外のほうが多いことや保育料が高い傾向があることから、多くの保護者がまず考えるのは認可保育園への入園だろう。

しかし、待機児童解消のため急ピッチで保育園が作られると、人材育成が追い付かず、裕子さんのケースのような「これで認可保育園といえるのだろうか」という現場が散見され、公立と同様もしくはそれ以上に「認可神話」が崩れている。

私立の認可保育園には、社会福祉法人、株式会社、NPO法人、宗教法人、学校法人がある。2000年までは認可保育園は自治体か社会福祉法人しか作ることができなかったが、規制緩和されて営利企業の参入も認められた。

保育は公共性が高く、労働集約的なため、決して“儲かる”わけではない。私立保育園の運営費は税金と保護者が支払う保育料という公費が充てられ、運営費は必要な経費が積み上げられて保育園に給付されている。国は「運営費は使い切る性格のものだ」と説明していることからも、儲かるものではない。

 

しかし、営利企業の参入がその様相を変えた。ある株式会社が運営する保育園では保護者サービスをウリにして、保護者は保育室に入って着替えの準備をすることなく、玄関先で子どもと荷物を保育士に渡すのだが、その保育園で働いていた保育士が「全く玩具がなく、絵本も園全体に数冊しかないという状況で、中を見せられないからだ」と明かした。筆者の取材から、玩具代までコストカットの対象になっている園がここ数年で目立って増えている。

株式会社が参入したことで、税金が原資であるはずの運営費の流用が株主配当にまで認められてしまっている。しかし、それらの費用は、もともとは、保育士の待遇や園児の玩具などを買うためのものである。

本来、その園の子どもために使うよう給付される運営費であっても、たとえば約2億円の収入のある認可保育園(約100人の定員)が毎年、3000万~5000万円もの運営費を園児のために使わず、他に回している実態もある。

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