意外と知らない…空前の「ショートショートブーム」が起こっている「これだけの理由」

飯田 一史 プロフィール

もともとSFやミステリー、ホラーなどのジャンル小説はタイムスリップや密室といった「お約束」を前提に各人が「新しい趣向」を加えることで書き継がれてきた。

そういうジャンルの運動をスマホ時代に合わせて高速展開できるようにしたのが、目下各種小説投稿サイトやSNS上で行われている「短文+企画性+時限性」を組み合わせたショートショートコンテストなのだ。

一般的な小説新人賞では自分の作品以外には他人が投稿したものを読むことができないが、これらの企画では読むことができる。

しかも、一作一作が短文ゆえにたくさん読むことができる。書き手同士がいくつも読み合うことで触発され、さらに新しい趣向の作品がさらに生み出される……というわけだ。

そして応募期間内に書き手/読み手として渦中にいる「フロー」としての楽しみがあるにとどまらず、本になったあとで読む「ストック」としての楽しみまで容易されている。ネット上で参加していない読者にも、本としての楽しみは開かれているのだ。

つまり単純に「短編小説集が流行っている」という以上の現象がいま起こっている。だからこそ無数の投稿作が集まる。そして一部の書き手はアンソロジーに作品が所収されるだけでなく、単著を出して作家として認められるようになってきている。

日本の近代文学において、投稿雑誌または雑誌の創作、実話の投稿欄が大きな役割を果たしたことは、よく知られている。そうした「書く読者」が小説市場を支え、また、そこから生まれた才能がプロに回って新たな読者を獲得するというサイクルが存在していた。

その令和版が、いまネット上で行われている短編/ショートショート投稿の熱気のなかにある。

 
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