巨象・日立製作所の「1兆円買収」は、過去の大失敗の「二の舞」になる…のか? 現状と課題

加谷 珪一 プロフィール

同社は、産業のデジタル化を前提に、(1)情報システム、(2)エネルギー、(3)産業インフラ、(4)エレベータ、(5)自動車、という5分野への「選択と集中」を進めている。いずれの分野においても、企業のデジタル化を支援するためには、製品を納入するだけにとどまらず、センサーを用いた情報収集やソフトウェアによる分析、メンテナンス支援など各種サービスを組み合わせることが重要であり、そのためには強固なソフトウェア基盤が必要となる。

 

大型買収に失敗した過去

理想を言えば、こうしたソフトウェア基盤は、すべて自社で開発するか、もしくはスタートアップ段階でベンチャー企業に出資するのが望ましかったが、自社開発にもベンチャー投資にも固有のリスクやノウハウがあり、日本メーカーはあまり得意としてこなかった。

一方、グローバルロジックは、新興企業とは言え、すでに世界14カ国に展開しており(2021年の売上高は1300億円になる見込み)、当該分野において十分な実績を持つ。つまり、日立はすでに実績のある企業を買収し、自社のプラットフォームに取り込むという現実的な選択を行ったわけだが、買収価格については高すぎるのとの声も聞こえてくる。

確かに1兆円の金額は絶対値として高く、良好な財務基盤を持つ日立でも、財務体質の悪化が懸念される。また日立については、以前、「選択と集中」を掲げ大型買収を実施したものの、事実上、失敗に終わったという過去があり、これも懸念材料の一つだ。

編集部からのお知らせ!

関連記事