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巨象・日立製作所の「1兆円買収」は、過去の大失敗の「二の舞」になる…のか? 現状と課題

日立製作所が約1兆円を投じて、米国のソフトウェア企業を買収する。同社には「選択と集中」を掲げ、大型買収を行ったものの失敗に終わった過去がある。今回の買収についても、金額の高さを指摘する声が出ており、同社の株価は下落している。しかしながら、今回の「選択と集中」については、方向性自体に間違いはない。最大の課題は、このソフトウェア技術をいかに自社の顧客基盤につなげられるかという実務戦略だろう。

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どんな企業を買うのか

日立製作所は2021年3月31日、米国のソフトウェア企業グローバルロジックを96億ドル(負債返済込み)で買収すると発表した。同社は米国シリコンバレー(カリフォルニア州サンノゼ)に本社を構える2000年創業の新興企業で、企業のデジタル化を支援するソフトウェア技術に強みを持つ。現場に設置した各種センサーからデータを集め、AI(人工知能)で処理して最適なオペレーションを実現したり、経営陣に有益な情報を提供するといったソリューション(解決策)を提供できる。

近年、AIやIoT(モノのインターネット)など技術革新が進んだことから、あらゆる部品をリアルタイムでネット接続する環境が容易に構築できるようになった。このため製造業の分野においても、単に製品を顧客に納入するだけという従来型ビジネスから脱却し、納入した製品からデータを収集し、AIを使って分析を行ったり、場合によっては顧客企業のオペレーションを請け負うといったサービス業に近い形態へのシフトが進んでいる。

この動きは、製造業の概念を一変させるインパクトを持っており、当該分野で先行できた企業は、新時代のリーダーになれる一方、出遅れた企業は厳しい環境に追い込まれる可能性が高い。製造業のAI化については、独シーメンスなど欧米企業が先行しており、日本勢は完全に出遅れていた。その中で唯一日立だけが、本格的な取り組みを行っており、日本メーカーの中ではかなり先行している。

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