「これは、初めてプラスチックという素材に着目した法律です。例えば、無料で使い捨てプラスチックのスプーンやフォークが配られるということもなくなっていく。世の中が変わっていくことになると考えています」
来年4月の施行を目指すプラスチック資源循環促進法案を閣議決定した3月9日、小泉進次郎環境大臣は、自信たっぷりにこう表明した。
たしかに昨年7月にレジ袋有料化がスタートしてから、スーパーやコンビニのレジでエコバッグを広げる人は増えた。これに気をよくしたのか、「次はスプーンとフォーク、ストローだ」とぶち上げたわけだが、国民からは困惑の声が上がっている。
「ただでさえ、お客さんに『レジ袋は要りますか?』『ポイントカードはお持ちですか?』と聞くことが多いのに、今度は『有料ですが、スプーンやフォークは要りますか?』と尋ねなければなりません。
『なぜこれまで通り、無料でもらえないのか?』と怒鳴る客も必ず出てくる。どれだけ現場に負担を押し付けるつもりなのか」(都内のコンビニで働く60代男性)
レジでの面倒が増えるだけではない。そもそも「環境政策」としてどれだけ有効なのか、という根本的な疑問もある。
廃棄物管理政策が専門の石川雅紀・神戸大学名誉教授は、今回の件に関して「いきなり報道で大々的にスプーンのような細かな製品の話が取り上げられたので、正直びっくりした」と驚きを隠さない。
スプーンやストローなどを有料化することで果たして、現実的にどれくらいの二酸化炭素が削減できるのか。
「昨年からレジ袋の有料化が始まっていますが、その効果をきちんと検証したデータはまだ出てきていません。
実行面でも、スプーンやストローはレジ袋以上に多様なシチュエーションで使われる。
どのように規制するのか、罰則を設けるならどのように監視するのか、あいまいな部分が多い。世界的に見ても、ストローなどのカトラリーを有料化するという例はあまり見たことがない」(石川氏)