仕事と育児の両立にもがく日々。
「完璧」を目指すことに必死だった

時間の長さじゃない、どれだけ息子に愛情が伝わっているかなんだ!と、思うようになったのは長男が1歳になり復職した頃です。

初めての仕事と育児に追われる日々は、どちらにおいてもミスをしないように、大惨事にならないように、何事もなく1日を終わらせることに必死でした。
息子を寝かしつけ後にそっとベッドから這い出て、翌日の夕食の準備をし、寝る寸前まで仕事の資料を読み、会社から帰る電車のなかでは、保育園のお迎えから寝かしつけまでを頭で何度もシミュレーションし、一秒でも早く迎えに行けるように心も体もいつも何かに追われていました。

保育時間外で仕事が入った時は、実母にお願いをしていたのですが、息子の面倒をみる以外は手を煩わせないように、実母の分まで食事を用意し、子供に関するできうる限りの準備をしてから仕事に向かっていました。

当時夫は、仕事にも会食にも忙しく、平日はほぼワンオペ状態。
1つでも歯車が狂うとドミノ倒しのように全てが崩れてしまう……。
だから、出来ることはできるうちに、そしてなるべく早く、早く、早く……。
働いてるからって親業をおろそかにしているわけじゃないんだ!と、自分自身に言い聞かせるように、多少なりとも沸き上がる“働いている事への罪悪感”を振り払うかのように、なるべく“完璧”に近い形を目指していました。

「こんな小さなうちから保育園に預けられて可哀そうね」という誰かの呟きが、私の心で出血はしないまでも、抜こうとしても抜けない小さなトゲの様に刺さり続けていたから。

春休みの朝はのんびりと。長男の真似をして、三男も朝から読書! 写真提供/中村仁美

そんな日々がスタートして4~5ヵ月経った時でしょうか。
その日も保育園に急いでお迎えに行くと、息子がまだ帰らない、まだ保育園で遊ぶ!と駄々をこねました。

最初は笑顔で優しく帰宅を促していたのですが、まったく帰る気配がありません。
しかもなんだか不機嫌な様子。
“せっかく急いで迎えに来たのに、なんだよ”という気持ちと、“早く帰ってご飯を食べさせ寝かさないと、明日の食事の準備も仕事の準備もできないじゃん”と、だんだんイライラし始める私。

「もう帰るよ」と無理やり抱きかかえようとすると、泣き出し保育士さんのところに駆け寄る息子。虚し過ぎる光景。
イライラは頂点に達し、「じゃあいい、ママは先に帰る!」と教室を一人あとにすると、教室から息子のさらに大きな泣き声が。もう、どうすればいいのよ??

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その日は先生が息子を玄関まで抱きかかえ、どうにか家に辿り着いたのですが、その翌日も帰らないと言う息子。そして、その翌日も。

なんで?なんで?こんなに毎日頑張っているのに、ママが嫌いなの? もう私の心はボロボロで、迎えに行くのが怖くなってしまうほどでした。
今日も帰らないと言われてしまうんだろうか、と浮かない気分で朝会社に行き、たまたまメイク室で会ったお子さんが2人いる芸人さんに、その話をすると……

「うーん、それは愛情が伝わっていませんね」

え?? 毎日、保育園の準備をして、連絡ノートを書いて、眠いのを我慢してご飯を作って、自分の時間を削り、こんなに毎日息子のために頑張っているのに? 息子のことがこんなに大好きなのに??

ボロボロの心にその言葉は深く突き刺さり、生放送前だと言うのに涙がポロポロと止まりませんでした。

“愛情が伝わっていない…”

確かに、そうかもしれない。
夫は私より一緒にいる時間が短い。でも、夫のことを息子は大好き。
時間の長短ではない、となると……。
保育園から帰宅し、二人で過ごす唯一の時間はどうだったろうか?
“息子のため”とは言え、少しだけでも手を止めて、きちんと向き合っていただろうか?

私が頑張るべきは、食事を作ったり、保育園の準備を完璧にこなしたり、お風呂に入れて時間通りに寝かすことよりも、今はまず、息子を見つめ、抱きしめ、一緒に笑い、「ママは君が世界一大好きなんだよ」と伝えることではないか??