フリーアナウンサー中村仁美さんのFRaU Web連載「騒がしくも愛おしい日々」(毎月1回・第1水曜日更新)。さまぁ~ずの大竹一樹さんとの結婚後、母として、妻として、そして一人の女性として、感じたこと、考えたことを、中村仁美さんならではの目線で綴っています。

今回は、長男くんがこぼした突然の涙とそのワケをきっかけに、仕事と育児の両立に悩んでいた時の記憶を辿ります。子どものために毎日一生懸命だったけど……子どもの謎のイヤイヤ&ギャン泣きを通して学んだ、“完璧を目指す育児”よりも必要なこととは何だったのでしょうか。

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長男の突然の涙……そのワケとは?

4月になり、我が家も子供たちが無事にそれぞれ進級を果たしました。
次男は幼稚園ラストイヤー。幼稚園の中でも一番のお兄さん“スーパーお兄さん”になったと気合が入りまくりです。

長男は小学校生活折り返し、4年生に進級しました。「え? もう半分? じゃあもうすぐ5年生になって6年生になって小学校を卒業して……人生ってあっという間だね」と、弱冠9歳が申しております。

長男が9歳になりました。もう9年か、と感慨深いです。写真提供/中村仁美

そんな長男ですが、3年生での登校も残り1日となった3月のある日、「今日はね、先生から感動的な言葉が書いてあるよ。」と、学校から持ち帰ったノートを見せてくれました。
「えー何々? なんて書いてあるの? えっと……“1年間お疲れ様。ありがとう!”って書いてあるね!」と、私が読み終わるか終わらないうちに、長男が顔をそむけシクシクと泣き始めました。

そっかそっか、先生のこと、大好きだったもんね。
そんな長男を見て、鬼の目にも涙。
私も一緒に泣いてしまいました。
私にもまだこんな美しい涙が残っていたなんて……そんなことにビックリしながら、“やっぱり一緒にいた時間の長さじゃないんだ、どれだけ愛情が伝わっているかなんだ”、と再認識しました。

当初、“ちょっと怖い”と校内で有名な先生にビビりモードだった長男。
全国的な休校を経て、初めて新しいクラスでの登校日。朝、緊張の面持ちで家を出た長男の顔は、キラキラと輝き、溢れ出す沢山の言葉と共に帰宅しました。

クラスの絆を深め楽しい思い出となるはずだった運動会や、遠足やキャンプ、学習発表会など、ほとんどの学校行事が中止になりました。
学校への登校日は例年よりかなり減り、分散登校や休校が繰り返される日々。
だからこそ、登校日はいつも楽しみで、「学校で先生と休み時間に一緒に遊んだんだ!」「今日は途中まで先生と帰って来たんだよ!」「先生がさ、こんな風に言っていたんだよ」など、時に笑いをこらえながら帰宅と同時に話してくれました。

いつもより少ない時間だと分かっているからこそ、先生方もその時間を大切に、より積極的に子供たちと関わってくれていたのでしょう。
特別な行事がなくても、登校日数が少なくても、その思いはちゃんと息子達に伝わっていた。

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いつも丸付けに使われている赤いペンで書かれたメッセージ。
きっと先生はみんなに平等に同じ言葉を贈っているはずです。
でも、同じ言葉でも、そこに込められた思いは一人一人違っていて、息子もそのメッセージを心で受け止め涙してしまったのでしょう。
同じだけど同じじゃないメッセージ。

心で思っているだけではダメなんだ、ちゃんと言葉や態度で伝えなきゃ……。

「じゃあさ、明日ちゃんと先生に言おうよ! 楽しかったです、ありがとうございました、って。そんなこと言わなくても先生はわかっているはず!なんて思わないで、大事なことはちゃんと言葉で伝えたほうがいいよ」

静かにうなずく長男の背中をさすり続けました。