子供を産むのは「女の義務」なのか

――日本の少子化を監督は社会問題だととらえていますか?

川崎監督:社会問題だとは思いますが、「AI婚活」支援など、日本政府は産む気がない人に産ませようとしている気がします。結婚もしたくない人が増えているのに……。この婚活支援を思いついた人は“結婚=子供”だと思いこんでいるんじゃないでしょうか。

そんなことよりも、本当に子供が欲しい人たちを支援すべきです。映画でも描いているように、日本は海外へ行かないと第三者からの提供卵子による体外受精ができません。少子化を解決しようと思うならば、もっとシンプルに日本でできるようにすればよいのに。

『Eggs 選ばれたい私たち』より

――そもそも、なぜ卵子提供をテーマにしようと思ったのですか?

川崎監督:エッグドナーの登録説明会に参加した経験がきっかけです。新聞のサイトで卵子提供で子供を授かり育てているというご夫婦の記事を読んで、「社会が子供を育てていく時代になったのかもしれない」「ご夫婦が自分の価値観でポジティブに生きている」というふうに私は受け止めたのですが、ニュースのコメント欄を見ると、「血が繋がっていない子供を育てるなんて」など、とても批判的なものが多かった。

「顔も見せない他人がなぜ批判するんだろう」と不思議に思ったのと同時に、卵子提供をする女性はどういう人達なんだろう、親族なのか友達なのかと不思議に思いました。ちょうどその頃、私は30歳になる手前で、先ほどお話したように婚活経験を経て、もう結婚も子供もいらないと思っていたんです。

『Eggs 選ばれたい私たち』より

――主人公の純子のように?

川崎監督:まさに純子そのものでした。でも、10歳も20歳も年上のキャリアウーマンの先輩から、「私は結婚しなかったことは後悔していないけれど、子供は産んでおけばよかったかな」と聞くたびに、私も40、50歳になるとそんなふうに思うのかなと不安になりました。そこで「女性として出産という義務を果たせば後悔しないのかな」と、とりあえず、エッグドナーの話だけでも聞いてみようと思い登録説明会へ行ったんです。

――子供を産むのは女性の義務だと感じますか?

川崎監督:産む産まないは、正解のない永遠のテーマだと思います。ただ、私にとっては、いまが本当に幸せなんです。パートナーや子供のいるいないは関係なく、自分のやりたいことがこうやって形になって作品が届けられて、自分らしく生きられる場所はいまはここだなって。