「〜活」で人々に圧をかける日本社会

――監督の前作『あなたみたいに、なりたくない』は婚活をテーマにした短編作品ですね。婚活も30歳で区切られるのですか?

川崎監督:女性が自分自身を「30歳」にカテゴライズする傾向もありますよね。実は20代後半に、会社員をしている女友達から「いま結婚しないとヤバいよ」と散々言われて婚活をした時期があったんです。でも婚活をしていくなかで、婚活を無理やり頑張っている自分がどんどん嫌いになっていって(笑)。

私が幸せになるためにはどうすればいいのか。突き詰めて考えると、それまでうまくいっていなかった脚本や映画に本気で向き合い、結果を出すことが自分の人生で一番大切なことだとわかり、「20代後半に結婚しなきゃいけない」という呪縛から解き放たれました。

ひとりでいる幸せ、パートナーがいる幸せ、子供がいる幸せに、優劣はない。みんな幸せだし、みんな大変なんだってやっと気づいたんです。

『Eggs 選ばれたい私たち』より

――婚活に対して「頑張る」という言葉を使われましたが、『Eggs〜』の主人公である、派遣で事務をしている純子とレズビアンの葵はふたりとも、卵子が「選ばれる」ために非常に“頑張り”ますよね。とくに純子はドナーの年齢制限30歳目前なので焦ります。

川崎監督:就活、婚活、ママ活、パパ活、終活……日本社会は何にでも「活」という言葉をつけますよね。「~活」という言葉を聞くたびに、「こうあらねば幸せではない」という価値観を押し付けられるようなプレッシャーを感じます。年齢に応じて何かアクションを起こさなければいけない、という圧がかかる。でも、そんなふうに無理矢理ポジティブに急かされるよりも、ありのままでいたいって思うんですけどね。

映画にはハワイと大分の2つの海が登場します。日本では卵子提供ができないため、エッグドナーに選ばれると卵子提供のためにハワイへ行く。エッグドナーに選ばれて行ったハワイの海も美しいけれども、エッグドナーに選ばれずに帰ってきた地元の海も美しい、と表現したかったんです。私は大分県出身なので、ハワイの海も好きだけれど大分の海も大好き。どちらも素直に認められたらいいなって。