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日本政府の無為無策で「親日国ミャンマー」が中国陣営につく可能性

「国軍とのパイプ」はどうしたのか

日本が誇る「太いパイプ」とは

次々に布石を打つ中国に対し、無為無策の日本――国軍によるクーデターからすでに2ヵ月を超え、混迷を深めるミャンマー情勢を見ていると、まさに隔靴掻痒(かっかそうよう)の感がある。

「日本はアメリカやEUよりも、ミャンマー国軍に対して太いパイプを持っている」――これまで国際社会で、日本はこう自任してきた。また、そう見られてきた。それなのに肝心な時に、国軍を説得できずにいる。手を打てずにいる。

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日本は、この2ヵ月というもの、発砲など暴力行為の即時停止、アウン・サン・スー・チー国家顧問らの即時釈放、民主化への速やかな移行の「3点セット」を唱えるばかりだ。

日本が誇ってきた、これまでのミャンマー国軍との「パイプ作り」は、一体何だったのだろう?

「パイプ作り」の一端を示そう。いまや無辜(むこ)の市民に対して発砲する40万国軍のトップとして、極悪非道の代名詞になっているミン・アウン・フライン国軍総司令官を、日本政府は、おととし2019年10月8日から13日まで6日間、日本に招待している。

訪日二日目にあたる10月9日の夕刻には、外務省に招いて、茂木敏充外務大臣が会談を行っている。当時、日本外務省が発表した会談の概要は、以下の通りだ。

〈 1 冒頭,茂木大臣から,「日本は,引き続きミャンマーの民主的な国造りを全面的に支援していく,和平プロセスについては,笹川政府代表と共に最大限後押しする,ラカイン州情勢については,国連の協力の下,避難民帰還のための環境整備を目に見える形で早急に進展させること,人権侵害疑惑に対し適切な措置を取ることが重要と考える。ミャンマー国軍の協力を期待したい」旨述べました。

2 続いて,少数民族との和平につき,茂木大臣から,「ミャンマー北東部におけるカチン独立軍(KIA)等との恒久的な停戦及び避難民の帰還・再定住の実現を期待する,日本財団等との連携によるミャンマー南東部地域の復興・開発支援が順調に進展している,今後もミャンマー国軍の最大限の協力を得たい」旨述べました。これに対し,ミン・アウン・フライン国軍司令官から,日本の支援に謝意が示された上で,「和平及び国内避難民問題の解決のため,笹川政府代表と協力している。我々は恒久的和平の実現を望んでいる。」との反応がありました。

3 また,ラカイン州情勢につき,茂木大臣から,「日本は,ラカイン州の状況改善のため,ミャンマー自身の取組を最大限後押しする立場である」旨述べた上で,人権侵害疑惑について,「独立調査団による調査の進展が重要であり,ミャンマー政府及び国軍として,独立調査団の勧告を受け,適切な措置を速やかに取ることが不可欠である」と促しました。これに対し,ミン・アウン・フライン国軍司令官から,日本の理解と支援に対する謝意が示された上で,避難民帰還につき,「ミャンマー国軍・政府共に,ミャンマー国内の居住実績がある者については,審査の上受け入れる用意がある。帰還後の生活向上にも取り組む。」旨述べました。人権侵害疑惑については,「独立調査団の調査に全面的に協力している。人権侵害が明らかになれば,法に基づき責任者に措置を取る。」との反応がありました。

4 双方は,北朝鮮情勢についても意見交換し,北朝鮮の完全な非核化に向けて連携することを確認しました。また,茂木大臣から,拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求め,支持を得ました 〉

 

以上である。外務省が発表した報道資料には、茂木外相がフライン総司令官と、親密に握手したり会談したりしている3枚の写真も添えられている。

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