「3億円」で出品される超レア物も!「ポケモンカード」に熱狂する“巣ごもりバブル”への警鐘

小出 フィッシャー 美奈 プロフィール

過去の教訓ーー「ビーニーベイビーズ」のバブル

バブルの歴史の教訓の一つに、多くの市場参加者が「大バカ理論(greater fool theory)」で動くようになったら要注意、というのがある。

つまり、バブル参加者の多くは、その資産の本質的な価値を信じて買うのではない。「自分よりバカなやつ」に、自分が買った値段より高値で売りつけて儲けてやろう、と思って買うのだ。

ところがバブルが弾ける時には、気がついたら自分がその大バカになっていた、ということが往々にして起きるーー。

米国では90年代の終わり頃、「ビーニー・ベイビーズ」というぬいぐるみがバブルになったことがある。手のひらサイズのこのぬいぐるみは、今でもドラッグストアなどで5ドルくらいで売られている。柔らかくて、目がウルウルして大きいのが特徴だ。

Photo by Gettyimages

ビーニーバブルのノンフィクション本、“The Great Beanie Baby Bubble“ (Zac Bissonnette) によれば、最盛期には、ビーニーはイーベイ全出品数の1割を占め、くまの「ナンバー1 ベア」や、ロイヤルブルー生地のぞうの「ピーナッツ」などのレア物に、オークションで5000ドルの値札がついたという。

コレクターマニュアルや価格モニターなどの関連書籍も「 Y2K(2000年に世界のコンピューターからバグが出て、社会麻痺が懸念された問題)本」より多く出版された。

面白いのは今のポケモンカードとの共通点だ。97年にマクドナルドが「ハッピーミール」の販促にミニチュア版ビーニーの景品をつけたところ、ぬいぐるみ目当てに一人で100個も注文する転売屋が現れるなど、多くの店で初日の昼までに完売。マクドナルドの倉庫から景品のビーニーが盗まれる事件まで起きて、キャンペーンは数日で終わりとなってしまった。

「金融資産」となったおもちゃを大人が子供から取り上げ、小売店から商品が忽然と消えたことなど、今のポケカ騒ぎととても似ているのだ。

 

ビーニーバブルの崩壊劇は、今のポケカブームに警鐘を鳴らしてくれそうだ。

ビーニーの場合は、製造元のTy社がモデルを常時入れ替え、希少価値を作り出したことが強い需要を維持していた。特に生産停止が発表されたモデルには、価格値上がりを先読みしたバイヤーが殺到した。だが、99年に入ると価格の上昇が止まった。この頃にはイーベイなどにも大量出品されており、気がついたら買い手より売り手の方が多くなっていたのだ。

価格は、上昇の勢いが一度止まると、後はそれ自体の重さで落ちていった。値上がりを見込んで商品を溜めていた転売屋が慌てて一斉に売りに出て、その売りが更なる価格下落と新たな売りを呼び込んだのだ。最後には余った在庫がドルショップで叩き売られ、最盛期に10億ドル(約1100億円)あったTy社の売り上げは、その9割以上が消失した。

ビーニーベイビーズのブーム終焉がITバブル終焉と、ほぼ時を同じくしていた点にも注目すべきだろう。今のロビンフッドラリーやビットコイン、ポケモンカードやNFTなどの大盛況も、それぞれの固有要因というより、低金利と当局の資本注入によって生み出された過剰流動性、「金あまり現象」の一環と見ておいた方がよいと思う

異なる資産で「リスク分散」しているつもりでも、一度市場調整が起きれば、株やデジタル通貨、ポケカやNFTなどの価格が一斉に下方相関(同じ方向に動くこと)する危険性に注意したい。

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