1DK高層マンションで孤独死、死後1ヶ月が経過した男性の部屋に「存在しなかった」もの

コロナ禍における孤独のリアル
菅野 久美子 プロフィール

部屋にはエアコンがなかった

当日、上東さんと一緒に現場に足を踏み入れた。関東某所の古びた高層マンションの1DKの一室。

すでに鉄の扉に閉ざされたドアの隙間から、うっすらと甘ったるいような死臭が漂ってくる。管理会社に渡されたカギを差し込み、ドアを開ける。ギギッと、鈍い音のその先は真っ暗で、床も見えないほどの荒れ果てたごみ屋敷が広がっていた。

亡くなったのは、70代の男性で死後一か月以上が経過していたという。

「ねぇ、見て。この物件はエアコンが、どの部屋にもないでしょ」

上東さんが、各部屋の上部を指さす。確かに、この部屋にはエアコンがない。夏の灼熱地獄も、冬場のかじかむような寒さも、住民は耐え忍んでいたのだ。

70歳男性が孤独死した室内の様子
 

床は長年掃除していないのか、どこかしも埃まみれで、数分その場に居ただけで、気分が悪くなるほどだ。いたるところがカビがはえ、コンビニの袋が転がっている。暖房器具を探したが、リビングにかろうじてあったのは、小さな電気ヒーター式のストーブのみ。部屋全体を暖めるにはほとんど意味をもたないだろう。

奥の部屋に足を進めると、木製のシングルベットが目に入った。しかし、掛け布団は無く、赤茶けた薄いタオルケットがあるだけだ。毛布すらも見当たらない。

男性にとって、寒さをしのぐ手段は、洋服とジャンバーだけだったはずだと上東さんは私に告げる。冬の極寒の中、男性はエアコンもなく、ただ部屋で凍えた日々を過ごしていた。そう思うと、苦しくなってくる。

上東さんが男性が亡くなった場所を指し示す。そこはこげ茶色の体液は干からびた状態になっていて、一段と匂いがきつくなっている。

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