「学校に行かなかったことが
負い目になったらやだなって」

小泉さんがいわゆる“読書家”なったきっかけは、16歳でアイドルとしてデビューしたことが多分に影響している。今でこそ、アイドルやミュージシャンや芸人が小説を書くのも珍しくなくなり、“言葉”を媒介にして、エンタメと文学を行き来する人も増えたけれど、今から40年近く前、小泉さんが「なんてったってアイドル」だった時代は、読書家のアイドルなど、ついぞ存在したことがなかった。

「デビューしてしばらくは、一応、学業と芸能活動の両立、みたいなことを頑張って(?)いた時期もあったんですが、あるとき、親と会社が勝手に私の高校中退を決めたんです。『今日子の場合は、あんまり学校行く必要ないんじゃないの? 大人っぽいし』『学校に通うことが負担になるなら、辞めちゃっても平気なんじゃない?』みたいな密談があったみたい(笑)。東京で暮らすことになったときに、親に、『そういえば、学校ってどうなってるの?』って聞いたら、父が『え、退学届出したよ』って言うから、『聞いてませんけど』って。ビックリですよ。でも父はケロッと『社長さんと話してそういうことになった』って言うんです。

もともと勉強は好きじゃなかったけど、学校に行かずに教育を受けなかったことが、自分の負い目になったらやだなって思って。それで、本を読み始めた。本を勉強がわりにしたんです。そしたら、読書中は、みんながあんまり話しかけてこないから、『お、一石二鳥』って(笑)。水瓶座なので、一石二鳥が好きなんです」

撮影/山本倫子

もともと、家族それぞれの好きな漫画や好きな本が本棚にずらりと並んでいるような家庭で育ち、本を読むのは嫌いじゃなかった。でも、「勉強の代わりに本を読もう」と決めてからは、本と向き合う時間をこよなく愛するようになった。

「たとえば、仕事場から仕事場に移動する間に20〜30分時間に余裕ができたて、マネージャーさんに、『どうする?どこか寄りたいところある?』って聞かれたら、必ず『あ、本屋さんで』って答えてました。あとは、東京だと、青山ブックセンターとか、深夜までやってる本屋さんがあったので、仕事が終わってから、『そうだ、本屋さん行こう!』って。自分で車を走らせることもしょっちゅうでしたね」