小泉今日子がパーソナリティー役に

「仕事をしているときって、車で言えばずっとエンジンかけっぱなしみたいな感覚ですよね。常に、『これをやらなきゃ』『少しでも先に進まなきゃ』って何かに追い立てられている。でも、コロナ禍で、時間の使い方が変わりました。世界中の誰もが、一回立ち止まって、何が大事かを考える時間を与えられたような気がしています」

4月5日からオーディオストリーミングサービスSpotifyのポッドキャストで新番組「ホントのコイズミさん」がスタートする。本好きとしても知られる小泉今日子さんがパーソナリティー役を務め、本をきっかけに、さまざまなテーマについて対談するトーク番組だ。第一回のゲストは松浦弥太郎さん。松浦さんが運営する中目黒のブックカフェ「COW BOOKS」を小泉さんが訪れ、リラックスした空間の中で、“本にまつわるエトセトラ”な対話は進んでいった。

撮影/山本倫子
小泉今日子(こいずみ・きょうこ)
1982年「私の16歳」でデビュー。80年代を代表するアイドルでありながら、セルフプロデュースするアーティストの先駆者ともなる。2005年から10年間新聞で書評委員をつとめた。Spotifyでも楽曲が配信されており、プレイリスト「This is 小泉今日子」では、代表曲を聴くことができる。4月5日よりSpotify にて「本」を入り口としたポッドキャストのトーク番組「ホントのコイズミさん」がスタート。

小泉さんがこの番組をやってみたいと思った理由は二つ。一つは、ここ20年ぐらいで本屋さんが変わってきた感じがあったからだ。

「本を売るだけじゃなく、コンセプトだとか、読書の時間とか空間そのものを提供するような個性的なブックショップが増えていますよね。まずは、それを経営している方達が、どんなことを思ってやられているのかな、ってことをお聞きしたかった。読書の時間って、空間もですけど、ちょっとだけ非日常じゃないですか。非日常にトリップできる時間っていうのかな。コンセプトや時間を提供するブックショップって、このコロナの時代にすごくマッチしているような気がしたんです」

「本を読む楽しみを、コロナ禍に思い出したんです」

かくいう小泉さんも、コロナ禍になって必然的に仕事に関するエンジンを切ることになり、以来、本との向き合い方が変わったらしい。

「正直いうと、ここ数年は、本を読む楽しみを忘れかけていたところがありまして。長く新聞の書評を書いて、それが一区切りすると、あんなに好きだった読書が『もう、お腹いっぱい』みたいになっちゃった。書評を書くにしても、本を読む行為自体は楽しいんです。だけど、どうしてもある種のプレッシャーは消えないし、読んでは書きが9年ぐらい続くと、流石にちょっと萎えた(笑)。その後も、『この本は話題だから読んでみよう』とか、情報として手に取る本が多くなっていました。それがコロナ禍で、普通の日常が一旦止まったことで、本来の『好きな本を好きに読める時間』が戻ってきた。『本当にそれ、ちゃんと読みたくて選んだっけ?』みたいな確認をしないまま、ダラダラと本を読んでいた時期が続いていたけれど、コロナでそれがリセットされました」

番組を通して、リハビリ的に、読書の楽しみを取り戻したい。それが「この番組をやってみたい」と思った二つ目の理由。まるで誰かの家を訪ねるような気持ちで、さまざまなブックショップに足を運び、本好きな人に、本にまつわるいろんな思い出や思いを聞くことを小泉さんは楽しみにしている。