高学歴の親にも増加している「心理的虐待」

厚生労働省によると、全国の児童相談所が2019年度に児童虐待として対応した全体の件数が19万3780件(速報値)で、前年度より2割以上増えている。身体、ネグレクト(育児放棄)、性的、心理的の虐待4類型のうち、最多は心理的虐待で10万9118件。全体の6割近くにのぼる。心理的虐待は、子どもの前で家族に暴力を振るう「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」の増加が目立つものの、前述したような子育てのつまづきから心理的な虐待は生まれているようだ。

虐待相談数の増加の様子「令和元年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数/厚生労働省」より
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児童虐待の家庭をサポートする医師は「高学歴の親による虐待は増えている」と話す。児童虐待は貧困層でしか起こらないと思われがちだが、2000年代に入ってからはホワイトカラー層に表出するようになったという。

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筆者も長男をよく叱った。大きな声で叱っては「言い過ぎました。ごめんね」と頭を下げられたのは、夫の転勤で3年ほど住んだ仙台市の無認可保育園のおかげだ。

当時4歳だった長男は、言葉が遅く他の子とのコミュニケーションに難があった。順番が守れない。すぐにけんかになる。噛みついてしまう。かといえば、初めて行った公園の滑り台を滑れなかったり、生野菜が食べられない、特に初めて食べるものは敬遠するといった、親から見ると弱腰なところがあった。

否定ばかりされたら、誰でも聞きたくなくなってしまう…それもわかっているのだが…Photo by iStock

今振り返れば、まったくもって大したことではないと思えるのだが、当時は他のお行儀の良い、利発な子どもたちと比べては「私がちゃんとしつけていないからだ」と落ち込んだ。仕事もしていたので「一緒にいる時間が少ないからだろうか」と思ったりした。