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自民党の出世の掟は、今どきエリート議員の感覚には合わないようで

『プロ秘書だけが知っている永田町の秘密』(4)
その言動がますます厳しく見られるようになっているのに、コロナ禍でも政治家は会食をやめない。ある著名政治記者が「政治家は会食するのが仕事」とテレビ番組で発言したところ、視聴者から質問が殺到したという。たしかに一般の感覚からは、そういう疑問を持たれるのは当然だろう。本当に会食しないと政治家は仕事にならないのか。政治家のことは秘書がいちばんよく知っている。長年、国会議員秘書を務めている畠山宏一氏の著書『プロ秘書だけが知っている永田町の秘密』(講談社+α文庫)から教えてもらおう。国難のときこそ政治家の仕事が重要なのだから。

まず目指すのは政務官

国会議員には二つの大きな戦いがある。選挙戦と、出世争いだ。目立つのは選挙戦だが、実は出世争いも熾烈なものだ。当選して国会議員になった瞬間から、大臣や総理大臣を目指した戦いがはじまる。

議員の序列には、年齢は無関係。当選回数だけがものをいう。同じ当選回数の議員を「同期」と呼び、当選回数により一回生、二回生という括り方をされる。同期のなかで、いかに早く出世するかが、将来の明暗をわける。そのため、当選した年によっても出世争いの激しさは変わってくる。

出世するための登竜門として、若手議員が最初に目指すのが、各省庁の政務官だ。政務官は、一つの省庁に一人だけというわけではない。たとえば外務省であれば、アジア地区担当と北米地区担当など、地区ごとに複数の政務官が任命される。厚生省と労働省が一つになって厚生労働省になったように、もともと複数の省庁に分かれていたところは、政務官も複数だ。

政務官に人気が集まる理由は、将来的に大臣や副大臣も狙える出世コースということもあるが、待遇が特別扱いになる点も見逃せない。若手議員であっても、政務官になることで、政務三役の一人として、それぞれの省庁の役人から任命された秘書官や専属の運転手がつく。政務官になれなかった同期との違いは見た目にも明らかだ。衆議院議員の場合、早い人なら二回生でも政務官になる。参議院議員であれば、当選後二、三年は必要だ。

 

政務官など、人気が集まる役職に就くためには、何をおいても「普段の活動で目立つ」ことが大切になる。自分から「この役職をやりたい」と明言するのは図々しいとされ、かえって出世が遠のいてしまう。出世するためには、上の議員の目にできるだけ入るように心がけ、ポストに推してもらうのを待つほかない。

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