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問題議員続出の原因は、「なりたい人がなる」公募制度にあるのかも

『プロ秘書だけが知っている永田町の秘密』(3)
その言動がますます厳しく見られるようになっているのに、コロナ禍でも政治家は会食をやめない。ある著名政治記者が「政治家は会食するのが仕事」とテレビ番組で発言したところ、視聴者から質問が殺到したという。たしかに一般の感覚からは、そういう疑問を持たれるのは当然だろう。本当に会食しないと政治家は仕事にならないのか。政治家のことは秘書がいちばんよく知っている。長年、国会議員秘書を務めている畠山宏一氏の著書『プロ秘書だけが知っている永田町の秘密』(講談社+α文庫)から教えてもらおう。国難のときこそ政治家の仕事が重要なのだから。

出世の道が断たれて自民党の公募で国会議員に

ある代議士について書こう。仮にA先生とする。A先生は、ある省庁に勤めるキャリア官僚だったが、あるとき大臣秘書官に任命された。厚生労働大臣や防衛大臣といった国務大臣には、それぞれの省庁の役人が大臣秘書官として任命される。大臣秘書官に任命されるのは、省庁のなかでも出世コースの人間だ。

つまり、A先生は「その時点では」出世コースに乗っていたということだ。いずれ秘書官の任を終えれば、省の課長として役所に戻り、官僚のなかでもトップである事務次官のポストを目指す。そんなキャリアも夢ではない位置につけていたはずだ。

A先生の経歴を聞いた私が最初に感じたのは、「なぜ国会議員に?」という疑問だった。官僚出身の国会議員には出世が叶わなかった人間がいるというイメージを持っていたからだ。どうしても気になった私は、リサーチをはじめた。選挙区である地元での評判を聞き、A先生がいた役所のつてを頼り在職中のことを調査したところ、「なるほど」と納得した。A先生は、大臣秘書官を務めていたときに「大きなバツ」をつけられていたのだ。

 

ことの成り行きはこうだ。A先生は大臣秘書官になった途端、同じ省庁の人間に威張り散らしていたという。後輩はもちろん、役所では上役にあたる人間に対してもだ。官僚のトップとされる事務次官だろうが、局長クラスの官房長だろうが、平気で呼び出して、しかも一分でも遅れると怒鳴りつける。気にくわないことがあれば、「君、何やってるの?」なんて言い草だったという。

役所というところは上下関係を重んじるため、A先生がそんな態度を取るのは、にわかには信じ難い。役所の人間も驚いたのだろう。「あいつ何様のつもりなんだ」という声が広がりはじめた。A先生がついていた大臣から見ても、A先生の態度は異常に映っていたようだ。「いつか役所に戻るんだから、もっと考えて行動しなさい」とアドバイスしたこともあったという。

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