激化する米中対立の中で…バイデン大統領が菅首相に突き付ける「難題」と「選択」

日本経済との板挟みに
歳川 隆雄 プロフィール

「責任と負担の共有」

だが、果たして本当であろうか。これまでに言及したように、アントニー・ブリンケン国務長官の外交演説(3月3日)で示されたバイデン政権が日本を含む同盟国に対して「責任と負担の共有」(share responsibilities and burdens)を強く求めていることを看過すべきではない。

習近平国家主席(共産党総書記)が繰り返し主張する「台湾は不可分の中国領土」(『一つの中国』政策)を念頭に、ジョン・アキリーノ次期米インド太平洋軍司令官(海軍大将)は3月23日の米上院軍事委員会の指名承認公聴会で「中国による台湾進攻が大多数の人たちが考えるよりも非常に間近に迫っている」と、強い危機感を述べている。

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要するに、近い将来の「台湾有事」に当たって日本は「責任と負担の共有」のために何が出来るのですか?あるいはその前段としてあるかもしれない「海警部隊尖閣上陸」の際にどう対処するのですか?という問いを突き付けられるという事なのだ。

何もオオカミ少年になるつもりはない。然しながらブリンケン演説だけではなく、3月25日のバイデン大統領による初めてのテレビ中継記者会見でもそうしたニュアンスは滲み出ていた。

すなわち、バイデン氏は香港や新彊ウイグル自治区での人権弾圧問題を指摘し、現下の米中対立について「21世紀における民主主義国家と専制主義国家の闘い」と表現したのだ。そして同氏は、少数民族ウイグル族の「ジェノサイド(大量虐殺)」とまで言い切った。

日本は中国の人権侵害問題に関して欧米諸国と横並びになって厳しい表現を用いた批判を行っていない。言うまでもなく、中国市場に大きく依存する日本経済へのダメージを勘案するからだが、仮にバイデン政権から人権問題で共同歩調を採るよう求められたらどうするのか。これもまた「責任と負担の共有」に関わって来るのだ。

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