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裏口入学から席取りまで! 国会議員は何でもできると勘違いしてません?

『プロ秘書だけが知っている永田町の秘密』(2)
その言動がますます厳しく見られるようになっているのに、コロナ禍でも政治家は会食をやめない。ある著名政治記者が「政治家は会食するのが仕事」とテレビ番組で発言したところ、視聴者から質問が殺到したという。たしかに一般の感覚からは、そういう疑問を持たれるのは当然だろう。本当に会食しないと政治家は仕事にならないのか。政治家のことは秘書がいちばんよく知っている。長年、国会議員秘書を務めている畠山宏一氏の著書『プロ秘書だけが知っている永田町の秘密』(講談社+α文庫)から教えてもらおう。国難のときこそ政治家の仕事が重要なのだから。

真っ当な陳情、無茶振りな陳情

平日と週末を問わず、やってくるのが「陳情」だ。私は有権者から来るお願い事を、「公的陳情」と「私的陳情」に分けて対応している。

「この道路に予算をつけてください」「この業界を助ける法案を通してください」といった、ある種「真っ当な」ものが公的陳情だ。こちらは基本的に議員本人が受けることになるが、秘書が動く場面も多い。たとえば、地方の有権者が必要とする道路や施設を作ってもらいたいという陳情が来ることがある。こうした公共工事は税金の無駄だと言われることも多いわけだが、地方の有権者にとっては長年にわたって心待ちにしているものだ。

こうした要望を受けると、私たち秘書は、道先案内人として議員を国土交通省や財務省に案内し、要望書を持ち回ってもらう。議員は、「なんとかこの区間の道路に予算をつけてください」などとお願いし、最後に名刺を置いていく。地方議員や首長も同行してもらっているから、大名行列などと呼ばれることもあった。

 

ピークは、予算のシーリング(概算要求の上限枠)についての議論がはじまる六月から七月にかけてと、十月から十一月だ。多いときには、異なる案件で一日四、五回、同じ役所に行くこともあった。今はもう不可能だが、規制のゆるい昔は各自治体がビール券やテレフォンカードを添えて要望書を渡していたから、財務省などには相当な金券がたまっていたと想像する。

そのあとも、進捗状況をしつこく聞くなど、とにかく地元の要望が実現するようにアピールを続けていった。そうした要望が実り、道路や施設が完成すると、大きな達成感がある。何年経っても地元の人々に変わらず使われているのを見ると、喜びもひとしおだ。

一方の「私的陳情」は、いわゆる入学や就職の口利きなど、有権者の私的な依頼だ。公的陳情と比較し、私的陳情は実にさまざまであり、対応が難しい。入学や就職の相談もあれば、「公団住宅の抽選に当選させてほしい」「息子の下宿先を探してほしい」など、なんでもありだ。どうも一部の有権者は、国会議員に頼めば、なんでも叶えられると思っているようだ。しかしそれは勘違いに過ぎない。実際、何ともならないことは山ほどある。

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