本気でGAFA解体へ…バイデン政権「反独占最強布陣」とその思想

「ネットの中立性」は実現できるか
中岡 望 プロフィール

「ネットの中立性」を主張するウー教授

さらにバイデン大統領は、最も過激なビッグ・テック企業分割論者として知られるウー教授を国家経済会議の委員に任命している。同時にウー教授はバイデン大統領の技術と競争政策に関する特別補佐官にも就任し、今後予想される反トラスト法改正に対して影響力を行使するだろう。

バイデン政権の反トラスト法運用で中核的な役割を果たすことになるウー教授は「ネットの中立性(net neutrality)」という言葉を作り出した学者であり、「自由で開かれたインターネット」の構築を主張している。同教授の主張する「ネットの中立性」は、利用者がネット上のすべてのコメントに平等にアクセスする権利を持つ状況を意味している。

また同教授は、ビッグ・テック企業はユーザーのデータ保護や、中小の競争企業に対する公平な扱い、プラットフォームからの偽情報の排除を行っていないと指摘している。さらに「私達の日常生活で最も目に付くのは、ハイテク企業のプラットフォーム、特にGoogleとFacebook、Amazon。これに対して厳しい規制が必要だ」と主張している。

ウー教授は2018年に『The Curse of Bigness: Antitrust in the New Gilded Age』を出版し、現在の状況は1800年代の大企業(トラスト)が経済を支配した状況に似ているおり、極端な経済的集中は大きな不平等と物質的な苦痛を与え、国粋主義的で過激な指導者を生み出す警鐘を鳴らしている。ビッグ・テック企業に対して、セオドーア・ルーズベルト大統領が行ったような大企業解体が必要だとも主張している。

ウー教授の任命に対して、上院司法委員会競争政策・反トラスト小委員会のエイミー・クロブシャー委員長は「私はティムと一緒に反トラスト部門の近代化、経済の強化、労働者と消費者の保護のために一緒に働けることを期待している」と歓迎の声明を発表している。

 

民主党左派を代表するエリザベス・ウォーレン上院議員も「ティムはビッグ・テック企業を解体し、支配しようとしている」、「彼がこの割を果たすのは喜ばしいことである」と語るなど、左派陣営はウー教授に対して大きな期待を寄せている。

連邦通信委員会(FCC)も反ビッグ・テック

バイデン大統領は1月にジェシカ・ローゼンウォーセルFCCの委員を委員長代行に任命している。彼女はウー教授の「ネットの中立性」論の支持者でもある。彼女は任命に際して「デジタル時代にコミュニケーションの機会を拡大し、国民のために働くことを光栄に思っている」という声明を出している。

FCCのジェフリー・スアークス委員も「ネットの中立性」の支持者である。FCCの5名の委員のうち現在2名が民主党系の委員であるが、2月に共和党系の委員長が辞任しており、バイデン大統領は3人目の委員を指名することになる。その人事が実現すれば、3名の委員が民主党系となり、バイデン政権は通信政策を推進する有力な手段を手に入れることになる。

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