「フェミニズム叩き」「女性叩き」で溜飲を下げても、決して「幸せにはなれない」理由

ベンジャミン・クリッツァー プロフィール

また、弱者男性論者たちは「リベラル」以上にフェミニズムに対して批判的な立場をとる。彼らは、女性の「幸福度」は男性よりも高いという調査結果があることや大半の女性は男性に比べて異性のパートナーに不足していないことなどを指摘しながら、女性のつらさは男性のそれに比べて大したものではない、と主張する。そして、女性に有利になるような制度改革やアファーマティブ・アクションなどの必要性を論じるフェミニズムの主張を批判するのだ。

一般的なイメージとは逆に、男性の方は女性よりも多大なつらさを抱えているとすれば、フェミニズムとは弱者からリソースを奪って強者に移転させる運動であり、すでに不利益を被っている人にさらに大きな苦しみを与えようとする主張だということになる。このような前提に基づいたうえで、弱者男性論者たちはフェミニストたちを苛烈に批判するである。

〔PHOTO〕iStock
 

上述したような弱者男性論の主張は、一般的に言われている正論からはかなり外れたものだ。とくに、「男性は女性よりも大きなつらさを抱えている」という前提は、すぐには受け入れられない人が多いだろう。

政治家たちによる女性蔑視発言や医学部の入試不正問題、政治や経済の領域におけるジェンダー・ギャップなど、この社会に女性差別が存在するということは、大半の人にとっては疑いのない事実として認識されているはずだ。それなのに、男性のほうが女性よりもつらいなんてことがあり得るのだろうか?

後述するように、わたしとしても、弱者男性論は問題を抱えた議論であると判断している。しかし、弱者男性論の問題点について考える前に、なぜ弱者男性論が隆盛するようになったのかについて、私見を述べたい。

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