ジブリのハウル、“超美形な王子様”だけど「ポンコツ」という不思議な魅力

パズーやアシタカとは決定的に違う
鷲谷 花 プロフィール

たとえば、英語スラングの読者投稿型オンライン辞書『Urban Dictionary』の“bishounen”(美少年)の項目には、「女性の読者・視聴者の目を奪うホットなアニメ/マンガの男性キャラ。ところが両親(世代)や、アニメ/マンガに関心のない人の目には女性に見える」との定義の後に、「『ハウルの動く城』のハウル。きれいな長髪、女の子のような顔、華美な服装」と例示されている(注1)。

ハウルの美しさは、その後長期にわたって世界中に熱量の高いファンを生み出している。「アニメ・クラッシュ(anime crush)」、すなわちアニメの中の恋愛を「別世界のこと」として眺めるのではなく、「本気でアニメキャラ本人に惚れる」ことは、今日ではかなり普遍的に起こりうる現象と認識されつつある。そこで英語圏でのインターネット記事等を見ると、その最初の相手がハウルだったという証言がたびたび見つかる(注2)。

世界中でこれだけの人気を獲得している秘密は、ただ「お城付きの王子様」キャラというだけでなく、「王子様」としても「男らしいヒーロー」としても異色な、ほどほどの「ポンコツさ」にもあるのではないだろうか。

「王子様」としてのハウル

ハウルは、ただ単に「美形キャラ」として魅力的な外観をもつだけではなく、「シンデレラ」の良い魔法使いと王子様を兼ねたような、強力な救い手にして、献身的なボーイフレンドでもある。

空中を散歩するソフィーとハウル(スタジオジブリ公式サイトより)
 

映画の序盤で、実家でもある帽子屋での労働で疲れ果てた主人公ソフィーは、家=職場の外の総力戦下の社会の浮かれ騒ぎにも居心地悪さを感じている。彼女が街で2人の兵隊にちょっかいを出されて立往生しているところに、唐突に登場したハウルがソフィーの手を取ってその場から救い出し、そのまま空高く舞い上がる。

そして、さっきまでソフィーを取り巻いていたストレスだらけの日常世界をはるか足下に見おろしながら、空中を散歩する夢のようなひと時を贈ってくれる。

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