インドネシアでキリスト教徒への「自爆テロ」発生…実行犯は夫婦だった

「家族自爆」という独善の系譜
大塚 智彦 プロフィール

スラバヤの3教会連続自爆テロに続いて同じ日に別の家族がやはりスラバヤの自宅で自爆し、その翌日にはさらに別の家族5人が爆弾を積んだバイク2台に分乗してスラバヤ警察署で自爆テロを決行するという異常な「家族自爆テロ」の連鎖という事態が続いた。

JADはこのほかにもフィリピン南部のホロ島で2019年1月にホロ市内の2つのキリスト教会を狙った2件の爆弾事件を起している。この時は20人が死亡、100人以上が負傷し、フィリピンのドゥテルテ大統領が自爆テロ実行犯はフィリピンのイスラム教テロ組織「アブ・サヤフ」の支援を受けたインドネシア人夫妻であると指摘、両国の治安当局に警戒監視の強化を呼びかける事態となった。

さらに2020年8月には同じホロ市内のスーパーマーケット、キリスト教会などで自爆テロが発生、18人が死亡し50人以上が負傷する事件が起きた。この時の実行犯の1人は女性で、2019年8月にホロ市内で教会を狙った自爆テロで死亡したインドネシア人夫妻の娘といわれている。

こうしたことから、インドネシアからフィリピンに密航したJADのメンバーをフィリピン南部の「アブ・サヤフ」が支援するテロのネットワークの存在が浮き彫りになった。

イスラム教徒の共感得られない凶行

JADのメンバーは、このように家族や親戚が治安部隊との交戦や自爆テロで死亡した場合、残された親族、家族が再び自爆テロを実行するという「報復」を系譜のように引き継ぐ傾向が極めて強いテロ組織といえる。

 

ただ、スラバヤの一家6人の自爆テロの場合、父母と共に自爆に加わったのは9歳から18歳までの息子2人、娘2人であり、そこにどれだけイスラム教徒としての「使命感」があったとしても、子供を巻き添えにするのは「親の独善に過ぎない」「イスラム教徒のとるべき行動ではない」などの意見がイスラム教徒の間でも根強く、JADのメンバー以外には理解も共感も得ていないというのが実情だ。

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