竹内結子さんの手相を見た

「“許せる大人”になっていきたい」。

竹内結子さんに、初めてロングインタビューをしたとき、彼女はそう語っていた。2008年の夏のことだった。

『いま会いにいきます』『黄泉がえり』など2000年代前半も名作ぞろいだった竹内さん。2007年には『サイドカーに犬』で主人公のヨーコを演じ、多くの賞を受賞。写真は東京国際映画祭にて Photo by Getty Images
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都内のホテルで、「FRaU」の表紙の撮影だった。当時竹内さんは、資生堂のTSUBAKIやコラーゲンEXエンリッチドなどのCMキャラクターを務めていた。FRaUは、ワンテーマのライフスタイルマガジンで、読者には、20代後半から30代を中心とした働く女性が読者に多い。そのビューティー特集で表紙を飾るのに、当時、彼女ほど相応しい人はいなかった。

ビューティーの撮影は、衣装に合わせてメイクや髪型をチェンジする必要があるため、ファッション撮影よりも時間がかかる。撮影終わりで1時間ほどのインタビュー時間が設けられていたが、スタッフ全員でランチを終えたあと、撮影を再開するまでに、しばらく“光待ち”の時間があった。スイートルームに入る光線が、もう少しだけ傾いた方がいい。「あと20分ぐらいかな」とフォトグラファーが言った。

「じゃあ、インタビューを始めちゃいましょうか」と編集者。竹内さんのマネージャーと「でも、話を途中で区切るのもねぇ」などと、その20分の使い道について相談しているとき、占い特集も担当していた編集者が「菊地さん、手相が見られるんですよ」と言った。その編集者は雑談の達人で、彼女にノセられ、それまでにも何度か撮影現場でタレントやアーティストの手相を見たことがあった。

現場にいるライターがたまたま手相が見られるからといって、それを知った女優やアーティストが、「見てほしい」と言うとは限らない。占いを信じない人もいるし、逆に見てもらうならこの人、と決めている人もいる。言われたことに縛られるのが嫌という人もいるだろう。ただ、竹内さんは、即座に、「わ、見てほしい!」と言ってくれた。「どっちの手を見るんですか? 右? 左?」と聞かれて、「両方見せてください」と伝えると、とても指の長い、白い手のひらがすっと目の前に差し出された。