なんとIoT化も進行中! 最新「薪ストーブ」進化論

ローテクの塊はなぜハイテク化するのか
三島 勇 プロフィール

薪ストーブの意外な発明者

アメリカでは18世紀に、ドイツからの移民が「5枚のプレート」とよばれていた「ストーブ」を伝え、広く使われるようになった。このストーブは壁にはめ込まれていて、暖炉よりも熱を多く出し、煙も少なかったという。

ソローが使った薪ストーブの「原型」は、政治家、発明家などとして知られるベンジャミン・フランクリン(1706〜90)が1740年代に発明したといわれている。

フランクリンは暖炉を鋳鉄で囲み、ドアを付けた。大きな技術革新だった。

『薪ストーブの本──薪エネルギーと、薪焚き人の人生』(W・ブッシャら編・著、田渕義雄訳、晶文社)によれば、フランクリンは「私が他の多くの人々の発明品から大きな恩恵を受けているように、私もまた自分の発明で、他の人々に奉仕する機会を与えられたことを喜びたい」などとして、特許権を放棄した。

ただし、「フランクリン・ストーブ」は、製品としては完全ではなかったようだ。加えて、暖炉の人気が依然として高かったこともあって、発明後すぐには普及せず、アメリカの開拓が進む19世紀になってようやく、その数が増えていった。

【写真】B・フランクリンの肖像と、Fストーブアメリカ独立宣言の起草者としても有名なベンジャミン・フランクリン(左)の発明した「フランクリン・ストーブ」 photos by gettyimages

『木質資源 とことん活用読本』(熊崎実ら編著、農山漁村文化協会)によると、北欧では、囲炉裏のような「囲暖炉」をレンガや石で覆った「ログストーブ」といわれるものが先行して存在し、そのレンガや石の代わりに鋳物でつくられたものが、現在の鋳鉄製薪ストーブへと進化したともいわれている。

隆盛と衰退──石油ショックが分水嶺に

先述のとおり、アメリカでは19世紀になっても暖炉のほうが人気だった。薪ストーブはその間、空気の出入りを制御して、その流れをコントールできるように改良され、燃焼効率を約30%に高めた。当時としては、かなり大きな進歩だった。

20世紀初頭には、全米の4000万世帯が薪ストーブを使うようになったともいわれているが、人々は安価な化石燃料を利用した製品など、他の暖房手段を知るようになり、薪ストーブ人気に陰りが生じた。

20世紀初頭には薪ストーブが広く普及したが、その後は化石燃料などの利用が増えていった。写真は1900年代初頭の教室を再現したもので、中央に薪ストーブが据えられている photo by gettyimages

ところが、1970年代を襲ったエネルギー危機である第一次石油ショック(1973年)と第二次石油ショック(1979年)を契機に、ふたたび人気が高まってきた。

エネルギー危機のさなか、日本や欧米などでは、石油などの化石燃料の供給の不安定さに対処するために、化石燃料に代わる代替エネルギーが見直された。大規模な電源としては原子力が利用されるようになったが、太陽光や風力などの再生可能エネルギーも注目を集めるようになった。

欧米では、薪エネルギーを活用しようという動きも広まっていた。災害などで電源がなくなったり、化石燃料が途絶えたり高騰したりしても、薪さえあれば、個人の家でエネルギーを生み出せるという安心感があったからだろう。

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