現役東大生が解説! 嫌われ者の「花粉」がきっかけになった科学史に残る大発見

現役東大生のサイエンス入門
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アインシュタインの計算は正しかった

1905年にアインシュタインは、ブラウン運動についての論文を発表しました。その時点ではまだ原子・分子の存在に関する論争は続いており、またブラウン運動の原理も分かっていませんでした。そんな中、アインシュタインは、原子や分子の存在を仮定し、先ほどのような熱運動によってブラウン運動が起きているのではないかと考えました。

そして、ブラウン運動によって微粒子がどのくらい動くのかを計算で求めました。その3年後、1908年にフランスの科学者であるジャン・ペランが実際にブラウン運動の実験を行い、アインシュタインの計算は正しかったことを示したのです。

ペランの観測したブラウン運動の軌跡 (Image from J. Perrin, Brownian movement and molecular reality, London, Taylor & Francis, 1910. )

つまり、原子と分子が存在すると考えれば、ブラウン運動を正しく説明することができるということが分かりました。この事がきっかけとなり、古代ギリシアの時代から続いた原子・分子は本当に存在するのかという議論に終止符が打たれたのです。

今では、原子や分子を顕微鏡で見ることができるまで科学は発達してきましたが、現代にたどり着くまでには、花粉に端を発するこのような歴史があったのです。こう考えたら、花粉もありがたいものだと感じてくるかもしれませんね……。

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