現役東大生が解説! 嫌われ者の「花粉」がきっかけになった科学史に残る大発見

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そもそも「原子」や「分子」とは?

今では、あらゆる物質は原子や分子という小さな粒からできているということは当たり前のことになっていますが、このことが広く信じられるようになったのはせいぜい100年ほど前の話です。原子・分子という考え方自体はずっと昔の古代ギリシアの時代から唱えられていたことを考えると、ごくごく最近のことです。

それまでの間は、原子説・分子説はあくまで一つの仮説にすぎず、批判する科学者もたくさんいました。なぜブラウン運動が原子論の証明になったのでしょうか?

まずは原子や分子の性質について振り返ることから始めましょう。

原子とは、物質を構成しているとても小さな粒子のことです。そして分子とは、原子がいくつかつながった粒子のことで、身近なところでは水分子や酸素分子などがありますね。この原子・分子の大きさは、だいたい1000万分の1cmほどです。

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ちなみにブラウン運動をする微粒子の大きさは10万~100万分の1cmほどで、原子や分子のだいたい10~1000倍ほどです。人間の大きさで例えると、微粒子と原子の大きさの関係は、人間とサッカーボール~ピンポン玉くらいになります。

また、原子や分子は、実はじっと静止しているわけではなく、絶えず動いています。この動きは「熱運動」と呼ばれていて、温度が高いほど熱運動は激しくなります。例えば、拡散現象はこの熱運動が原因です。臭いものが入ったビンを開けると、その臭いが部屋中に充満していきますが、これは臭いの元となる成分の分子が熱運動によって部屋全体に移動したからです。

原子と分子について見たところで、続いてブラウン運動の原理についてご説明します。ブラウン運動は、微粒子を水に浮かべると起こると言いましたが、実はこの水が大事な役割を果たしています。

水の中にはたくさんの水分子があり、そしてこの水分子ももちろん熱運動をしています。そのため、微粒子を取り囲んでいる大量の水分子が、様々な方向に熱運動しながら微粒子にぶつかっていました。この衝突が不規則に起こるため、微粒子も不規則な方向に動くというわけです。

先ほどと同じように、人間のサイズで考えてみましょう。皆さんが微粒子で、周りにあるたくさんの水分子はボールです。周囲から大量のボールが勢いよく飛んで来たら、皆さんはどうなってしまうでしょうか?おそらく、その衝撃でふらついてしまうと思います。これと同じようなことが、微粒子のスケールで起こっていたというわけです。

それでは最後に、ブラウン運動が原子論の根拠となった過程を見ていきましょう。ここでのキーパーソンは、かの有名なアインシュタインです。

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