今月3月16日にアトランタの複数のマッサージ店で起きた銃撃事件は、被害者8人のうち6人が韓国系または中国系の女性ということもあり、米国在住のアジア系の間では大いに緊張感が高まっている。

アジア・太平洋諸島系に対する暴力や嫌がらせについて調査している団体「Stop AAPI Hate」によると、2020年から2021年までの1年間に報告された3,795件のヘイト犯罪のうち、女性による報告が68%を占めているという。ここでは、アジア系に対するヘイト犯罪とはどういうものなのか、そしてなぜ女性に対するものが多いのか、カリフォルニアに14年暮らし、日系アメリカ人の夫をもつ日本人女性である筆者が考えてみたい。

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最近の米国内のアジア系への攻撃の増加

トランプ政権になってからヘイト犯罪は全般的に増加傾向にはあったが、 Covid-19ウィルス上陸以来、 アジア系市民への犯罪が増加している。2020年は前年にくらべ全般的なヘイトクラムは7%減少した一方、アジア系を標的とする犯罪は150%増加したとする報告もある。トランプ前大統領とその周囲が「チャイナウィルス」と言い続けて来たことは当然大きな要因だろう。

筆者の住むサンフランシスコ近郊はアジア系が多く住むこともあり、昨年まで差別はほとんど経験したことがなかった。しかし昨年夏、スーパーで白人男性にニヤニヤと「ニイハオ」と声をかけられ、英語で「中国語はわかりません」と答えたところ、「じゃあ日本人だろう」としつこく言われて驚いたことがあった 。同じ頃、ロサンゼルス近郊では、食器店に「日本に帰れ」という趣旨の言葉を連ねた貼り紙がされて話題になった。

※石をつめた靴下で攻撃され負傷した女性、那須紀子さんに関する報道。

今年に入ってからは、シアトルで日本語を教える日本人女性、那須紀子さんが石をつめた靴下で攻撃されて負傷した。また2月以降オークランドやサンフランシスコで多くのアジア系高齢者が攻撃されており、在米のアジア人や日本人の間では 恐怖や不安感を互いに話題にするようになっている。中国系とそれ以外の区別が一般の米国人につくわけではなく、これはアジア系が同様に感じている不安だ。