親に「医学部受験」を強要された多浪生たち…知られざるその「過酷な実態」

中には、15浪まで粘った人も…
庄村 敦子 プロフィール

前述の通り歯学部や薬学部など医療系学部に進む人も多いが、開業医の子どもの場合、医師と結婚して配偶者に医院を継いでもらう方法もある。実際、私の友人は姉妹揃って医師と結婚し、配偶者が父親の医院を継いでいる。

「大きな病院の院長の子どもなら、医療経営を学べる学部・学科に進学し、将来、理事長になるという選択肢もあります」(前出の和田医師)

代々続く病院を受け継いでいくことは、当事者たちにとって重要な意味を持つだろう。しかしそのためには、子どもの医学部進学が必須条件というわけではないのだ。

例年、3月下旬の後期試験の合格発表が終わった後、補欠合格だった受験生のもとに繰り上げ合格の連絡が入る。大学によっては4月の入学式の直前まで行われるため、現在、朗報を待っている多浪生も多いことだろう。

合格したら、長年の勉強漬けの日々、プレッシャー、閉塞感から遊びたい気持ちにもなるのも当然だ。

しかし医学部は他学部よりも進級が厳しい。入学後に遊びすぎると、1年次から留年する可能性もある。医学部合格は「医学を学ぶ」権利を得ただけで、スタート地点に過ぎないのだから、勉学に励んでほしいと思う。

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また医師になるまでには、4~5年生からの病院での臨床実習の前に受けるOSCE(客観的臨床能力試験)とCBT(医学知識評価試験)という共用試験、さらには6年生の2月に受験する医師国家試験が待ち受けている。前者に合格しないと留年するし、後者は東大医学部の学生も含め、毎年約1割の受験者が不合格になるという難関の試験だ。

そして医師になってからも、日進月歩の医学や新型コロナウイルス感染症などの新しい疾病について、情報収集しなくてはならない。就く前はもちろん、就いた後も、医師とは一生学び続ける仕事なのだ。

この通り医師という職業は非常にハードであり、本人の強い意志がなければ目指し続けるのは難しいだろう。残念ながら浪人が決まった場合は、来年も医学部受験に臨むか、進路を変更するのか、親子でよく話し合って決めるべきだろう。特に親は、自分の希望を押し付けるのではなく、子どもが何をやりたいのかを第一に考えてほしい。

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