親に「医学部受験」を強要された多浪生たち…知られざるその「過酷な実態」

中には、15浪まで粘った人も…
庄村 敦子 プロフィール

文科省の指摘を受けて、同年12月までに、女性や多浪生への差別、特定者の優遇を行っていた9大学が「不適切入試」を公表。1大学は文科省の指摘に対して、「属性による一律な評価は行っていない」「不正には当たらない」と反論している。

その後文科省は、「不適切な事案等を指摘した10大学」について、2019年度入試の実施結果を調査し、公表している。

この結果をみると、多浪生の合格者数は、不正入試事件が発覚する前の2018年度よりも増えている。たとえば3浪以上の合格者数を比較すると、東京医科大学は17人から28人(女子は1人から5人)に、順天堂大学は1人から9人(女子は0人から5人)に、聖マリアンナ医科大学は33人から66人(女子は0人から18人)に増加した。多浪生、とりわけ「多浪女子」が差別されていたことがわかる。

私が知っている例では、15浪の受験生も合格している。多浪生が合格しやすくなったとはいえ、現在でも学校推薦型選抜入試や一部の地域枠入試のなかには、浪人生には受験を認めないものもある。

 

医学部進学以外の選択肢も…

和田医師もメディカの亀井代表も、「東京医科大の不正入試発覚後の入試では差別がなくなり、合格しやすくなった。今後は多浪生にとってはチャンスだ」と話す。

和田医師はさらに続ける。

「多浪生は受験勉強に何年も費やしていますが、診療科によっては、企業の定年の年齢を超えて働けます。精神科医のなかには80歳で現役という医師も少なくありません。長い目で見れば、多浪しても医師になる価値はあると思います」

親が医師だと「わが子も医師に」と願う場合も多いが、子どもが医学部志望ではないのに受験を無理強いすると、前述のようにせっかく医学部に進学してもやめてしまうケースもある。また、合格できないまま年月が流れて、引きこもりがちになる可能性もある。

子どもが「多浪しても医学部に行きたい」という強い意志を持ち続けているときには、合格するための戦略を練り直し、チャレンジを続けるといいだろう。しかし、親の希望で浪人を続けさせるのは教育虐待であり、子どもは被害者だ。本人が医学部を諦めようと思ったときには、他にもさまざまな選択肢がある。

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