親に「医学部受験」を強要された多浪生たち…知られざるその「過酷な実態」

中には、15浪まで粘った人も…
庄村 敦子 プロフィール

医学部「多浪生」への根強い差別

かつては、医学部受験に3回ぐらい失敗したら、歯学部、薬学部、看護学部などに進学する受験生が多かった。何年も浪人を続ける多浪生は、合格する可能性が低くなっていたからだ。その背景には、医学部受験における「多浪生への差別」があった。東京医科大の不正入試が発覚するまでは、複数の大学で多浪生を合格しにくくする「得点調整」が行われていたとされる。

そもそも、なぜ多浪生は差別されてきたのだろうか。ある医学部予備校関係者はその理由をこう推測する。

「長年の浪人生活で勉強漬けの日々が延々と続いたため、合格した解放感からか、入学後に遊びすぎてしまったり、素行がよくなくて同級生に悪影響を与えたりした多浪生もいたようです。多くの大学でそのような多浪生は留年しやすく、さらに医師国家試験の合格率も低いそうです。そういった悪しき前例があるため、多浪生が差別されていたのではないでしょうか」

もちろん、入学後に真面目に勉強する多浪生が多数派だろう。しかしこのように、留年した一部のイメージが先行したため、以前の入試の二次試験(面接)では、多浪生にはわざと厳しい質問をする「圧迫面接」を行い、入学後に真面目に勉強しそうかどうかを見極めることもあったようだ。

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かつて取材したとある私大医学部の教授は、雑談の最中に「多浪生は留年しやすいから、現役生や1浪生をとるようにしている」と当時の実情を話していた。

現役生との待遇格差が意識、是正されたのは、東京医科大学の不正入試が契機だった。2018年の夏以降に文部科学省は、全国の大学医学部を対象に「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査」を実施。9月に男女別・年齢別(18歳以下、19歳、20歳、21歳、22歳以上)の受験者数、合格者数、合格率(合格者数/受験者数)を大学ごとに公表した。

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