親に「医学部受験」を強要された多浪生たち…知られざるその「過酷な実態」

中には、15浪まで粘った人も…
庄村 敦子 プロフィール

高収入で、社会的ステータスも高く、人に感謝される職業である医師になってほしいと願う親は多いが、なかにはブランド志向、自己満足でわが子に医学部を勧める親もいる。

もちろん、親に言われて医学部に進学し、後から振り返って「良かった」と語る人もいる。東大理一と慶應医学部に合格し、医師になった男性は、本当は東大に進学したかったものの、親と担任の教師の強い勧めに従って後者に進んだという。取材した当時は医学生で、「臨床実習を経験して、医師はやりがいがある仕事だと感じた。医学部に進学して本当に良かった」と笑顔を見せた。

東京大学の安田講堂[Photo by iStock]
 

そうではないケースもある。医学部専門予備校・メディカの亀井孝祥代表が、2浪で私大医学部に入学したある生徒について述懐する。

「両親ともに医師で、2人の強い希望で私大医学部に進学しました。しかし、本人は医学にはまったく興味がなかったため、同じ学年を2回留年して退学になりました。その後、他大学の文系学部を受験して、大学に入り直し、『ようやく行きたい学部に行けた』と喜んでいました」

親の強い希望で、医学部受験の勉強、医学部での勉強に4年間も費やしてしまったのは少し不幸にも思えるが、ようやく学びたかった学問にたどりつけたのは、当人にとっても良いことだったといえよう。

わが子に「医学部に進学してほしい」という希望を持つ医師や歯科医師は多い。特に、子どもに病院を継いでほしいと考える開業医に、その傾向が強いと感じる。江戸時代から代々続く医師の家系で、自分が7代目だという開業医の男性は、かつて

「代々医師の家系だったため、父の姿を見て自然に医師を目指しました。わが子のプレッシャーにならないよう何も言いませんが、心の中では、『子どもたちの誰かに病院を継いでほしい』と思っています」

と、本心を打ち明けてくれた。

この医師の子どもは2浪で医学部に合格したが、そのような親からの期待やプレッシ
ャーを背負いながら、何度も何度も医学部受験に挑戦している多郎生もいる。

メディカの亀井代表によれば、親と本人の強い希望で医学部受験に10度挑戦した歯科医の息子もいたという。大手予備校で7浪した後、医学部専門予備校であるメディカに移り、9浪目で合格を果たしたそうだ。

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