日本の「全国学力テスト」は失敗…? 専門家が指摘する“知られざる”実態

「教育格差」の“見て見ぬふり”は許されない

全国学力テストは失敗なのか…?

新学期早々、教育現場に大きなイベントがやってくるのをご存じだろうか。2007年から毎年4月に行われている「全国学力・学習状況調査」いわゆる、全国学力テストだ。(今年度は5月実施予定)

教育施策の「成果」と「課題」を検証することなどを目的に、毎年数十億円の予算を使い、既に10年以上実施されている。

写真はイメージ〔Photo by iStock〕
 

8月頃になると都道府県の順位がこぞって報道され、成績の悪かった自治体や学校は「釈明」に追われている。テストだし、成績の悪い自治体や学校が頑張るのは当たり前だろうと思っている人もいるかもしれない。しかしこのテスト、学力調査としては完全に 「失敗」なのだ。その背景を知るために、まずはこの図を見てほしい。*1

ある自治体の小学校別の「平均正答率(国語)」と「就学援助率」の関連

これは全国学力テストのデータと、自治体が経済的な理由によって就学が困難な児童に行っている「就学援助」に関する情報を組み合わせて筆者が作成した、ある自治体の小学校別の「平均正答率」と「就学援助率」の関連を示したグラフだ。

1つ1つの円が学校を表し、円の大きさは学校の規模を表現している。また、赤色の斜線は、国語の正答率と就学援助率のおよその関連を示す「回帰直線」と呼ばれる直線だ。この図は、ある重要な事実を示している。

それは、就学援助率が高いほど明らかに国語の正答率が下がるということだ。断っておくが、就学援助を受けている子どもの成績が「必ず」低いと言っているわけではない。どのような環境に育ったとしても、高い素質を持ち、優れた成績を示す子どもはいる。

ただ、学校のように何十人もの子どもが集まってくると、こうした素質のバラツキは消え、家庭環境と学力の関連がはっきりと見えるようになる。実際、図の右上に就学援助率は高いものの正答率も高い学校がいくつかあるが、それらはすべて円の小さい小規模校だ。この図が示す事実、それは学校単位で見ると、学力に対する家庭環境の影響はきわめて強い、ということだ。

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