2021.03.29
# 中国

20年前に戦狼外交を予言し国を追われた中国人ジャーナリストの証言

長平氏の目に映る世論の暴走と悪循環
古畑 康雄 プロフィール

誤爆事件に「武器よりも強い力」を訴える

この社説では、3人のジャーナリストを失ったことに対する悲しみと哀悼の意を表し、暴力を非難しました。しかし、報道や社説の核心は、人々に理性と平和を保つよう呼び掛けることであり、次のように訴えました。「私たちは平和と人類の旗を掲げるべきです。平和は大地に築かれなければならず、人々の心に根ざさなければなりません。この世界には巡航ミサイルや強力な爆弾よりも大きな力がある。それは正義、良心、そして理性です。
この号は発売後ただちに売り切れ、150万部を売り上げました。これは、南方週末の歴史の中で私が知る限りで最高の売り上げです。中国の新聞の発行部数はすべて水増ししていますが、150万部の売り上げは本物でした。
新聞が出た後、広州の路上にある新聞売り場に行きました。他の新聞がナショナリズム、さらには憎しみを扇動している一方で、南方週末は際立って対照的であることが分かりました。私は南方週末を心の底から誇りに思いました。

だが、後に長平氏が中国でジャーナリストとしての活動の場を失ったのも、2008年に彼が書いた中国のナショナリズムを巡る1本のコラムが原因だった。その時のことを彼は次のように書いている。

 
4月中旬のある日、私はレストランで食事をしていて、友人からネットを見るようにと携帯のメッセージを受け取りました。彼が送ったリンクを開いて驚愕しました。私が最近書いたウェブサイトの記事には、40万回以上の閲覧と2万件以上のコメントがあり、その約90%が私を批判、非難、叱責、さらには脅迫するものでした。それはフィナンシャル・タイムズの中国語版に掲載したコラムでした。
その年の3月14日、チベットのラサで抗議行動が勃発しました。チベット人は、北京五輪で世界が(中国を)注目するこの年に、自分たちの権利を世界に向けて訴えたかったのです。事件は欧米のメディアで広く報道され、海外の一部の中国人学生は、CNNの報道に誤りを見つけ、「事実を歪曲し、中国を中傷した」として非難しました。彼らは反CNNキャンペーンを開始しましたが、CNNだけでなく、ラサ事件を報道する米国、英国、フランス、ドイツなど多くの西側メディアが反中国報道を行っていると信じていました。
私は長年メディアに身を置いた人間として、この事件をテーマに取り上げられるのではと考えました。チベット問題は中国では敏感なテーマであることはよく知っていましたが、ジャーナリストとしてのキャリアの中で、自己規制するべきではないと常に信じていました。また、私たちの言論の自由は絶えず変化する檻であり、あなたがそれを大きくする努力をしなければ、それは縮小し続け、あなたを制限し続けると信じていました。

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