2021.03.29
# 中国

20年前に戦狼外交を予言し国を追われた中国人ジャーナリストの証言

長平氏の目に映る世論の暴走と悪循環
古畑 康雄 プロフィール

中国に「世論」はない

こうした中国の世論の状況について、中国国内に住む友人は「そもそも今の中国に“世論”など存在しない。中国の微博(ウェイボ)上の声は反西側一辺倒だが、これは政府が世論を強力に統制した結果だ。暴力によって民間世論を抑えつけ、(政府の方針に対する)議論も疑問も許さず、さらには五毛党(政府お抱えのネットユーザー)らが政府系メディアによる世論誘導を力ずくで推し進めている」と指摘した。

その後もフランスの国会議員の台湾訪問をめぐり、中国側の干渉を批判したフランスの学者を、駐フランス中国大使が「ちんぴら」とツイッターで罵倒したことが問題となった。

さらには新疆ウイグル自治区における人権侵害を巡り、新疆産の綿製品を使わないとの声明を過去に出していたとして、中国紙、環球時報がアディダスやナイキ、ニューバランス、ファストファッションのH&Mなどを名指しで批判。ネット上での批判を政府も「愛国心に基づくものだ」と容認した。

このように世論、メディアと政府がお互いに刺激しあい、ナショナリズムの暴走に歯止めが掛からない状況を生み出している。

 

だがこうした状況が生まれる恐れを、20年以上前に予知し、警告を発していたジャーナリストがいた。1990年代から2000年代にかけて、中国でメディア改革を主導した「南方週末」でペンを執った長平氏がその人だ。

このほど、長平氏がジャーナリズムの世界に入り、歴史に残る数々の報道を手掛け、やがて当局の圧力により活躍の場を奪われるまでを口述したインタビューが中国問題を取り上げる在米のサイト「チャイナ・チェンジ」に掲載された。

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