長平氏 筆者提供

20年前に戦狼外交を予言し国を追われた中国人ジャーナリストの証言

長平氏の目に映る世論の暴走と悪循環

強気の発言に喝采、Tシャツも

中国外交やネットの「戦狼化」が止まらない。18、19日に米アラスカで開かれた米中外交トップの会談では、中国側の楊潔篪国務委員が米側の人権、新疆、香港問題などに対する指摘に、延々と反論をまくしたてた。

「米国は中国に対して強い立場からものを言う資格はない。20年前、30年前もそのような資格はなかった。なぜなら中国はその手は食わないからだ」

「中国人はその手は食わない」、中国語では「中国人不吃这一套」だが、米国務省のサイトには「 this is not the way to deal with the Chinese people」と書かれている。「つまり中国人に対しそのような態度は取れない」と米側は解釈している。

by 人民日報

この言葉を言い放つ楊氏の映像が中国のメディアやSNS で何度も放映され、「中国はその手は食わない」を人民日報は紅白のロゴにしてネットに掲載、この言葉はたちまち中国ネット市民の間で流行語になり、このロゴをプリントしたTシャツや酒まで売り出された。

中国中央テレビの司会者もウェブ上に公開した動画で、「アラスカでの対話は中国の基本原則をはっきりと示した。つまり『中国は今や世界、つまり西側や米国を水平にみることができるということだ』。中国はもはや(西側を)仰ぎ見たり、上からの目線を受けたりする必要はなくなった」「中国が自らのことをしっかりとやり、より強くなれば、(我々を)見下ろすことができる人はいなくなるのだ」とコメントした。明らかに米国を意識した発言だが、この「水平にみる」という意味の「平視」という言葉も流行っている。

世界に対する目線が「仰視」から「平視」、やがては「俯視」(上から見下ろす)へと変わることが習近平政権にとっての「中国の夢」なのだろう。唐の時代のように、多くの周辺国が中国を仰ぎ見て、相争って朝貢した、その栄華の復活を夢見ている、そのような指摘もネット上にあった。

 

ネット市民も熱狂的なコメントを寄せている。昨年まで日本に留学していた知人はSNS で「楊潔篪、王毅の2人とも、かつて(文化大革命中に)下放を経験し、毛沢東に鍛えられた人材だ。この2人を本当に尊敬する。まったくこの2人にはひれ伏すしかない!」などと書き込んでいた。動画サイト「ビリビリ」などにも、今回の会談での楊氏を称賛する動画がアップされ、ネットユーザーは「感激した!」などと弾幕を貼っていた。

このように中国メディアは総出で、米国に強気の態度を取った外交官を称賛し、米国への対抗意識をあらわにし、世論を扇動している。

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